女城主の郷

【只管打座・・女城主の郷・・02.11.21】
 しばらくのご無沙汰でした。記事ネタの秋枯れという訳でもないので
すが、吠え続けるのも疲れますという辺りが最も真実に近いのでしょう。
さて、先週末に岐阜県の南東部・恵那郡岩村町に行って参りました。
記憶力の良い方なら憶えておられるでしょうか。小泉総理が田中元外相
に差し上げた「重職心得箇条」を表した「佐藤一斎」に縁の町です。
 岩村町は島崎藤村ゆかりの馬篭宿がある中津川市の南西方約10キロに
位置する、人口5,400人ほどの山間の小さな町です。しかしこの町には武
田信玄と織田信長が争奪戦を演じた岩村城跡が存在します。
 岩村城は大和の高取城、備中の松山城と並ぶ全国三大山城の一つであ
り、城跡に建物は残されていませんが、往事の石垣や石畳の登城路はそ
のままに残されています。岩村城はその由緒を鎌倉時代にさかのぼりま
す。今は山間の小さな岩村町ですが、鎌倉から戦国にかけて戦略上の重
要拠点であったであろうとしのばれることです。
 岩村には何度も足を運んでいますが、城跡に登ったことはなかったの
で、晩秋の昼下がりに紅葉を楽しみながら登城して参りました。
城跡は町を見おろす721mの山頂にあり、麓からの標高差は約220mです。
登城路の大半は石段・石畳道ですからそれ程の難儀はしませんが、でも
全行程約900mの登りは運動不足の身には結構なものです。
 生い茂る杉檜の木立の中を、木漏れ陽に輝く紅葉・黄葉を眺めながら
往くのは風情もあり優雅な気分になります。山頂城跡からの眺望はそれ
ほど優れたものではありませんが、高々三万石程度の小藩が築いたにし
ては見事な石垣を見るだけでも十分に価値があります。
 標題の「女城主の郷」の由来や「佐藤一斎」については、URLをご紹介
しますから、ゆっくりご覧下さい。佐藤一斎の表した「言志録」より一
文を掲示しておきます。
  少くして学べば  則ち壮にして為すこと有り
  壮にして学べば  則ち老いて衰えず
  老いて学べば   則ち死して朽ちず
 さて、岩村町は江戸期を通じて岩村藩三万石の城下町でしたから、現
在も重要伝統的建造物群保存地区に指定される古い街並みが残っており、
屋内をトロッコの走る造り酒屋さんなど公開されている旧家も多くあり
ます。皮肉な言い方をすれば高度成長期の発展から取り残されたが故に
残った街並みとも云えます。
 岩村の南隣は大正村として著名な明智町ですから、両方併せて観光さ
れるのも宜しいでしょう。明智町大正村では懐かしい味のハヤシライス
や味噌カツ丼が有名ですが、岩村町では伝統的手作りの松浦軒カステイ
ラが有名です。今風のカステラに慣れた舌には物足りなさを感じるかも
しれませんが、素朴な味わいの一品ですからお試しあれ。
 岩村町には城跡と古い街並みのほかに、もう一つの景観が存在します。
それは「第7回日本のむら景観コンテスト」の集落部門で最高賞を受賞
した「農村景観日本一」の農村風景です。
 ここの農村景観の特徴は、東から西に少し傾斜した穏やかな岩村盆地
の中に、瓦と白壁の昔ながらの農家や土蔵が点在する農村景観が展開し、
回りは盆地を形成する緑の低い丘や遠く三河・尾張と境を接する山々が
二重・三重に連なって、この景観を一層引立てています。秋の夕陽に染
まる景色は心の疲れを癒してくれる故郷の趣があります。紅葉は終わり
ますが、晩秋初冬の岩村も捨てがたい趣を味わわせてくれるでしょう。
 街並みの整備が進むとともに、観光客が少しずつ増えているようです。
より整備が進んだときが良いのか、まだまだ未整備で知る人ぞ知る今が
良いのか難しい命題ではありますが、機会がありましたら、岩村町を訪
れてみてください。城下町の家々に掲げられた佐藤一斎の言志録抜き書
き(浮き彫り銘板)を読みながら歩くのも一興でしょう。
岩村町観光案内
http://town.iwamura.gifu.jp/kanko/index.html
佐藤一斎について
http://town.iwamura.gifu.jp/kanko/ijin/sato.html
明智町ご案内
http://www.town.akechi.gifu.jp/cgi/count.cgi
・・・・・・本日の蛇足です・・・・・・・・
 岩村町の物産品に「およねさん」という名前の菊芋の味噌漬と粕漬が
あります。サクサクとした歯触りで、お茶請けにも酒の肴にもよく合い
ますからお試し下さい。(菊芋は糖尿病に効くという話もあります)
カステイラ松浦軒、お食事水半別館、およねさんなどは上記のURLから
探索してください。
・・・・・・・本日これまで・・・・・・・

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