今、比準価格-1

【茫猿遠吠・・今、比準価格-1・・03.05.10】
 茫猿は、『鄙からの発信』のなかで度々、比準価格試算過程において、比準
表なかんずく数値比準表の利用を提言してまいりました。
Web Site のなかで数値比準表を用いた評価ソフトも開示してきました。
 ダウンロードされている方は時々おみえになりますが、読者諸兄姉の反応も
ほとんどかえってきませんから、芳しい評価は頂いていないのでしょう。
※公開している比準表使用評価モデル
 『鄙からの発信』・「鄙巷交歓」・「鑑定ソフトウエア」・「kohyou.exe」
 http://www.morishima.com/kantei/03hikokokan/download.html
 しかし茫猿はこう考えます。改訂新基準において、説明責任が強く求められ
ていることからも、価格比準の各工程は可能な限り透明である必要があり、可
能な限り具体的データに基づき、鑑定士が地域の実態に応じた比準表を駆使し
て試算価格(比準価格)決定の過程を開示してゆくべきと考えます。
 当然のことですが、比準価格だけに説明責任が求められている訳ではありま
せんから、収益価格も積算価格もその試算工程は明らかにされねばならないと
ころです。収益価格の試算に関して、賃貸事例収集能力の強化を提唱し、
INDEX査定について、単位士協会としての事業着手に参加しているのも、その
延長線上にありますし、士協会取引事例収集事業のさらなる強化を目指してい
るのも茫猿にとっては当然のことです。
 さらに、いかに一見精緻に見える数値比準表を駆使したとしても、基礎資料
が不透明であり、比準表が恣意的であれば何の意味も持たないことは自明です。
 その意味から、この記事において公開する比準表も演算シートも、その端緒
にしか過ぎないと云えます。茫猿は、地方在住の不動産鑑定士です。年齢的に
も峠を過ぎております。
 その茫猿にして思いますのは、DCF法に一番必要なのは割引率と還元利回
り判定の透明化であり、想定賃貸収益に依る場合は詳細かつ確かな賃貸事例で
あろうということです。もちろんのこと建築想定建物に関する資料の確かさも
必要なのは云うまでもないことです。
 そして、収益還元法の精緻化と確実化に並行して、土地価格比準の透明化が
必要だと考えますし、次の段階では建物比準や賃料比準の透明化が必要なので
しょう。「迅速・大量・安価」な評価とは逆行するものかもしれません。
 でも茫猿は急がば廻れと考えます。
コンピュータ全盛時代の鑑定評価の在り様を考えれば、手間暇かかってもノウ
ハウを積み上げ、スキルを充実させてゆくことが、当座は「遅滞・単件・高価
(請求できるか否かは別のこと)」であっても、結局の処「安・迅・大」的評価
依頼にも、正しく応えることになるつながってゆくと考えます。
 本稿で説明するのは、前掲「kohyou.exe」・固評標宅評価モデルを一般鑑定
評価用に発展させたものです。
 無償有償にかかわらず全面公開が本旨でしょうが、数値比準表に関して茫猿
の個性が大きく反映した評価モデルであり、カスタマイズの為にはそこそこの
アプリケーション知識が必要なこと、ましてサポートに応じる余裕がないこと
から、ヒントを提供するにとどめます。「kohyou.exe」と次号で公開するPDF
ファイルによれば、読者が独自にモデル作成は容易であろうと考えます。
                  『この記事は、次号に続きます。』
※以下は、茫猿が『鄙からの発信』において、数値比準表について掲載した過
去記事の一部に関わるURLです。
※土地価格比準表・・数値比準表Q&A 99.09.16掲載
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=985100611
※評価の電算処理・・その1~その3 00.8.20掲載
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=985112080

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