【茫猿遠吠・・インデックス物語・・03.08.03】
平成14年12月24日に国交省から「不動産投資インデックス・ガイドラ
イン」が公表されて以来、地価公示関係でも取り上げられることが多くなり、
鑑定業界でもにわかに注目されつつある「不動産投資インデックス」ですが、
茫猿が側聞するところによれば、まだまだ鑑定業界挙げての取り組みとはなっ
ていないようです。日本不動産鑑定協会の新執行部がどのような対応策を打ち
出すか興味深いところではありますが、目下の処は競売最低落札価格問題対応
が優先しているようです。
そんな折から、近畿地域連絡協議会・インデックス整備支援特別委員会がと
りまとめられた「利回り等の精緻化手法」と題する冊子を頂きました。
この委員会はに収益率Yついて、Yを正しく求める為には多くの課題がある
として、なかでも、以下のテーマに焦点をあてての研究成果を公表されたもの
です。
1.建物の施工床面積と登記床面積の差違、
2.建物評価法の精緻化
3.積算価格及び取引価格の投資採算性
4.収益率による収益分析の精緻化
※収益率Y=a1/v0+(v1-v0)/v0
※a1=1年間の純収益、v0=期首資産価格、v1=期末資産価格
特に注目すべきなのは、不動産鑑定士が日頃見過ごしがちな建物登記床面積
と施工床面積との相違について解説し、両者の違いが収益価格に及ぼす影響に
ついて、実際の収益データより実証的に分析しその研究成果を公表されたこと
にある。
日常、収益価格算定基礎とする登記床面積と実際施工床面積との差違並びに
実際有効床面積の差違を明らかにすることにより、施工床面積を基礎としなけ
れば精緻な収益価格が導けないことを立証された論文は必見と云えましょう。
全123頁に及ぶ大部の冊子であり、近畿連絡協議会に問い合わせても余部が
あるかどうかは判らないが、広く配布されることが待たれる冊子である。
インデックス関係については、『鄙からの発信』において1年前に連載記事
とした北海道不動産鑑定士会の事業がある。
アプローチする方向と内容は違いがあるものの、両会共に収益価格の精緻化
やインデックス整備を目指して努力されているものである。
北海道会関連記事は「インデックス」或いは「INDEX」で検索して下さい。
「インデックスその1」
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1030292824
その他の記事は検索または「茫猿遠吠・見出し」よりお探し下さい。
茫猿が属する岐阜県士協会においても、既報のとおり昨秋以来、関連事業を
立ち上げ、その成果をとりまとめつつあるところである。
近日中に、岐阜県士協会サイトなどで公表するために努力しているが、細部に
おいて計算式の統一や考え方のすり合わせに手間取っているというのが真実で
ある。
類例がない事業を行うときに100%を期すべきではあるにしても、100%は望み
得ないものであり、多少の間違いはおそれずに巷間の批判を待つべきと考えて
作業を進めているものである。
北海道会ではH13版、H14版と巻を重ねておられ、内容を充実されている。
及ばずながら、岐阜会でもと夏休み返上の日々であります。
そんな折りも折から、某社より企業のキャッシュフローを分析することによ
り、企業保有資産の有効活用度分析さらには当該企業の経営コンサルに立ち至
る事業を立ち上げたいので協力してもらえないかという話が舞い込みました。
企業収益分析は不動産鑑定士にとっては、どちらかと云えば苦手な分野とい
うより敬遠したい分野でしょう。しかし、茫猿にとっては、損になる話ではな
く、といって業績向上に直結するとも思えませんが、手がけてみたい仕事と思っ
て、片隅に参画しています。
陽の目をみたら鑑定業際分野がまた一つ広がると夏の夜の夢を見ています。
・・・・・・引用です・・・・・・
※国交省「不動産投資インデックス・ガイドライン」
<問い合わせ先>
(情報収集の在り方関係)
総合政策局不動産業課不動産投資市場整備室
(情報収集の在り方関係を除く全般)
土地・水資源局土地情報課
我が国の不動産投資市場を公正かつ透明なものとし、今後とも発展させてい
くためには、我が国においても、欧米諸国で行われているように、市場の情報
インフラの一つとして「不動産投資インデックス」を整備することが不可欠で
あります。
このような認識のもと、平成13年6月より、不動産投資に関する専門家か
らなる「不動産投資インデックス整備検討会」を開催し不動産投資インデック
スについて検討を行ってまいりましが、今般、不動産投資インデックス整備検
討会での議論をもとに、「不動産投資インデックス ガイドライン」を作成し
公表することとなりました。
このガイドラインは、不動産投資インデックスの作成者に対するガイドライ
ンであるとともに、不動産投資インデックスとは何かを 分かりやすく説明す
ることを目的としており、このガイドラインによって不動産投資インデックス
に対する認識が高まり、不動産投資インデックスの整備が推進されることを期
待します。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/01/011224_.html
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/const/fudousan/honnronn.pdf
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