岐阜会事例スキーム案

【茫猿遠吠・・取引事例作成イメージ・・04.10.01】
 去る9月29日開催の(社)岐阜県不動産鑑定士協会理事会では、既に個人情報取扱事業者である士協会が、「国交省個人情報保護ガイドライン案に準拠した安全管理措置整備」並びにプライベート・ポリシーの公表を04/01/2005に向けて進めてゆくことが確認されました。
 同時に、2005/04から開始が予定されている取引事例収集新スキーム試験運用実施区域に、岐阜県を加えるよう関係方面に要請することが承認されました。
※国交省ガイドライン及び士協会上申書については後述する。
※安全管理措置とは、プライベートポリシーの公表をはじめ、組織的、人的、物理的、技術的な安全管理措置を云う。
 事例収集新スキームで最も問題になるのは、個人情報保護法対策であるが、個人情報保護対策を講じてゆく上で或いは事業実施手段として重要なのは、鑑定協会と単位士協会間並びに単位士協会と会員間のオンラインネットワーク構築である。
 しかし、この両者については既に下記の記事でふれたので、此処では会員事務所に於けるデータの入力及び閲覧について考えてみたい。
 なお、オンラインネットワークを構築するのに不可欠なサーバー(WEBサーバー&ファイルサーバー又はSQLサーバー)の設置は、士協会事務局に設置した場合に物理的安全管理措置が求められるのと、サーバー・メンテナンスの問題が生じることを考え合わせて、専用レンタル・サーバーもしくはサーバー・ハウジングを採用するのが上策と考える。
【茫猿遠吠・・事例新スキーム・4つの課題・・04.09.17】
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1095246643
【茫猿遠吠・・鑑定法の守秘義務と情報保護・・04.09.28】
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1096281741
 オンラインネットワークを経由して、会員が士協会サーバーのデータベースにアクセスしてデータを検索し閲覧するという作業は、アクセス認証・管理を含めてそれ程の難点は認められない。問題はデータ入力とデータのダウンロードである。
※以下は岐阜県士協会理事会で筆者が説明した私案であり、理事会で承認されたものではない。またお断りしておきますが、茫猿は鑑定協会役員でもないし、十全の取材源を持っている訳でもありませんから、誤解している部分もあろうと存じます。
 記事は現在までの公表文書と独自取材の上で、茫猿の推測の落ち着く処を述べているものであると同時に、かく在りたいと考えるものでもあることにご留意の上で、記事をお読み下さい。尚、取材の進行に併せて、記事内容は随時更新して行きます。
※説明した岐阜県士協会事例作成イメージ図は以下のPDFファイルに示す。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin040930105832004.pdf
『事例属性データの調査と入力』
 事例の属性データ入力について、毎月の作業として工程を考えてみたい。
1.一次、二次データの受取
 月初めに士協会サーバー宛、国交省または鑑定協会より二次情報がオンラインで送付されてくる。
 ※二次情報:照会結果の入力された取引情報、回収結果の含まれない一次情報も含めて送付されることが、諸般の事情を考慮すれば望ましい。
2.事例作成担当者の決定
 地価公示幹事、または地価調査委員長が一定のルールにより取引事例属性データ調査担当者を決めて、担当者名を二次情報ファイル・データベースに入力する。ファイルに作成担当者を実際に入力するのは、士協会事務局である。
3.属性調査とデータ作成
 調査担当者はファイルを確認して、調査担当レコードをダウンロードの上で、調査・事例作成用ファイルにインポートする。
その上で、現場調査等を行い調査用ファイルに属性データ等を入力して、士協会事務局に送付する。送付データはファイルからエキスポートしたテキストデータであり、送付は士協会BB-WANシステムで行う。
※調査する属性データ:事例地の形状、接面道路条件、駅・役所等施設までの距離、都計条件等々属性データ(地価公示事例カード準拠)
※事例地位置図、地形図、写真等のイメージデータについては、作成方法、ファイル形式その他について別途検討する。
※調査担当者が利用する調査用ファイルは別途形式または地価公示に使用するソフトの利用を前提とするが、イメージデータやGIOコード(緯度経度情報)の利用も視野に入れるときには、別途専用ファイルの作成が好ましい。
4.事務局でのデータベース入力
 事務局では、調査担当者より送付された属性データを機械的にチェックした上で、まとめて二次データファイルにインポートする。これで、事例カードが完成する。
以上の作業要点
・士協会事務局でルールに基づき、機械的に調査担当者を決定すること。
・調査・入力用データファイルを使用すること。(公示ソフトの利用も含む)
・会員事務所端末から士協会データベースに直接データ入力は行わないこと。
・個々の会員の事例作成件数等が自動的に記録されること。(α)
・作成者名の記録により、調査内容の苦情処理に対応できること。(γ)
『事例カードの閲覧作業』
1.閲覧アクセス認証
 会員は事務所端末PCより、士協会BB-WANを通じて士協会事例データベースにアクセスする。この際にアクセス認証とそのLOG保存が行われる。
当然のことであるが、閲覧者はBB-WANにつながる士協会会員に限定される。
2.事例データ検索
 所在地コード、所在地大字、取引時点、取引価格等の因子でもって、事例を検索する。デフォルトの検索範囲は直前2年間とし、検索最大件数は100件とする。検索範囲、検索件数は仮定値であるが、検索件数を越えて検索された場合は、取引時点期間や価格範囲等の再絞り込みが求められる。
3.イメージデータの閲覧
 必要に応じて、その他の属性情報、所在位置図や地形図を閲覧して、ダウンロード件数を絞り込み、必要な事例カードをダウンロードする。
 一回の最大ダウンロード件数は30件とする。ダウンロードファイルはCSVまたは、カンマテキスト、或いはPDFファイルとする。最大ダウンロード件数も仮定値である、
以上の作業要点
・閲覧の最大件数並びにダウンロードレコードの最大件数を設定すること。
・月間のダウンロード最大件数を限定すること。
・ダウンロード者のダウンロードレコード件数を記録すること。(β)
作成者と利用者の乖離にについては、(α)と(β)の記録を利用して調整する。
作成事例の精度等については(γ)により、一定の精度を保つ。
『付随業務或いは事業』
 今回の全面デジタル化事例作成事業に於いては、取引事例作成に際しても、その閲覧に際しても、マップシステムの利用は必須であり、取引事例作成並びに閲覧に最適なマップシステムの採用が喫緊の課題である。
【茫猿遠吠・・地図システムは今・・04.09.11】
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_boen/newspaper.cgi?action=view&code=1094764002
『推定される事例作成件数』
・全国の土地取引件数(土地基本調査H15等による)約170万件
・地価公示評価員数 約2,700名
・アンケート回収率 50%前後 (事業者見込数値)
・要事例作成件数率(林地、公示区域外等を除く)約70% (推測値)
・月間一人当たり事例作成件数
 1,700,000件×50%×70%÷2,700名÷12月=18件(月/1名)
 毎月10~20件の事例作成業務が重いものであるか否かは、議論が別れるところであろう。しかし、筆者はこう考えるものである。
 鑑定士にとって取引事例という基礎資料は米櫃である。
その米櫃を第三者に任せてしまう怖さに思いを致すべきであろう。
米櫃の管理も作成も第三者に委ねてしまった後に、鑑定士の存在基盤は如何なるものになるのであろうか考えて見たいものである。
 事例作成業務の、さらなる合理化、さらなる効率化は必要だが、一次ファイル、二次ファイルを手許に確保し、必要に応じて閲覧利用ができる状態に置いておくことが、地価公示の精緻化にとっては必須条件であると考える。
・・・・・・添付資料-1・・・・・・
国土交通省所管分野に係る個人情報保護に関するガイドライン(仮称・案)
[ H16.9.21公表、パブリックコメント募集中、 H16.10.20意見募集締切 ]
(安全管理措置)第9条
個人情報取扱事業者はその取り扱う個人データの漏えい滅失又はき損(以下「漏えい等」という)の防止その他の個人データの安全管理のため、組織的、人的、物理的及び技術的安全管理措置を講じなければならない。その際、本人の個人データが漏えい等をした場合に本人が被る権利利益の侵害の大きさを考慮し、必要かつ適切な措置を講じるものとする。
2.組織的安全管理措置
 個人情報取扱事業者は組織的安全管理のために次に掲げる事項について措置を講ずるよう努めるものとする。
一個人データの安全管理措置を講じるための組織体制の整備
二個人データの安全管理措置を定める規程等の整備と規程等に従った運用
三個人データ取扱台帳の整備
四個人データの安全管理措置の評価、見直し及び改善
五事故又は違反への対処について手続きの策定
3.人的安全管理措置
 個人情報取扱事業者は人的安全管理のために次に掲げる事項について措置を講ずるよう努めるものとする。
一従業者の雇用及び委託契約時における非開示契約の締結
二従業者に対する教育、啓発の実施
4.物理的安全管理措置
 個人情報取扱事業者は物理的安全管理のために次に掲げる事項について措置を講ずるよう努めるものとする。
一入退館(室)管理の実施
二盗難等に対する対策
三機器、装置等の物理的な保護
5.技術的安全管理措置
 個人情報取扱事業者は技術的安全管理のために次に掲げる事項について措置を講ずるよう努めるものとする。
一個人データへのアクセスにおける識別と認証
二個人データへのアクセス制御
三個人データへのアクセス権限の管理
四個人データのアクセスの記録
五個人データを取り扱う情報システムに対する不正ソフトウェア対策
六個人データの移送・通信時の対策
七個人データを取り扱う情報システムの動作確認時の対策
八個人データを取り扱う情報システムの監視
・・・・・・添付資料-2・・・・・・
 (社)岐阜県不動産鑑定士協会上申書 (04.09.29理事会承認済)
国土交通省土地水資源局地価調査課 課長 岩本千樹 様
(社)日本不動産鑑定協会 会長 横須賀 博 様
平成16年10月01日 
(社)岐阜県不動産鑑定士協会
   会長 樹下健志   
「上申書」
岐阜県士協会は、平成17年4月より実施が予定されている取引事例調査実施対象地域に、岐阜県を加えて頂くべく、ご検討賜るよう上申致します。
なお、上申理由は以下の通りです。
1.弊会は既に平成6年10月より8年間継続して、協会事業として悉皆調査を実施していること、また会員の個人情報保護意識並びに全数調査への理解が高いこと。
2.弊会は安全性の極めて高い、NTTフレッツグループシステムを採用したブロードバンド・ワイドエリア・ネットワークシステム(BB-WAN)を開設運用していること。
3.岐阜会の試験運用実績は、岐阜会に類似する小規模会がこの制度を実施してゆく上で、多分に参考となるであろうこと。
※悉皆調査とは、岐阜県の委託により、岐阜県内民間取引の全数について、データファイルを作成し、そのファイルを基礎として取引価格照会調査を行い、その結果を岐阜県に報告しているものである。
8年間の累積データ件数は20万件を越えています。

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