調停センター(ADR)開設

※更新情報
 本記事については、04.11.09 am11:10 (社)日本不動産鑑定協会事務局篠原調査二課長より電話連絡があり、横須賀会長からの御伝言を頂きました。
会長伝言内容は「04.11.16開催の協会理事会において説明するので、その説明資料をもって回答としたい。」とのことでした。
【茫猿遠吠・・調停センター(ADR)開設について・04.11.06】
 11/04~05と上京した折りに、(社)日本不動産鑑定協会事務局・会長室に掲げられていた看板です。看板といってもA3白紙に書かれただけのものですが、墨痕鮮やかな看板でして、どうやら11/2開催の常務理事会審議等を受けての看板掲示のようです。11/2付けにて鑑定協会はADRの一環として「不動産鑑定士調停センター」を鑑定協会・会長室に開設したようです。
会長室に掲げられた「不動産鑑定士調停センター」の看板
【04.11.04撮影Exilim4.0】

 前掲の調停センターが開設された経緯は「H16.10.12、司法制度改革推進本部・第37回ADR検討会において、鑑定協会会長横須賀 博氏が陳述した内容及び同検討会に提出した資料を受けてのもののようである。
しかし、茫猿にとっては幾つかの事項が不明または疑問のままであるし、何を行おうとしているのか、とても理解できない。
 そこで、下記の事項について、常務理事会に質問書を送りました。
一、ADR検討会提出書類2の(1)には、「運営のための諸規定を作成し」とありますが、いかなる規程を作成されたのかお示し下さい。
二、同じく、(3)調停センターの運営に関して、調停センターは「所要の研修を実施した会員をもって組織します。」とあります。同じく「調停人が精通している地域を予め定め、その地区別に調停人を配置し」とあります。
 具体的に、いかなる手順で調停人を選出し配置されたのかお示し下さい。
三、さらに、(4)実施時期では、「平成16年11月2日に調停センターを開設すべく、すでに開設日の機関決定を行っており、目下その準備を急いでいます。」とありますが、どのような機関決定が行われたのか、お示し下さい。
四、ADR検討会議事録中、「鑑定人、補佐人として関わればよく、」という質問に対して、横須賀会長は「鑑定には費用もかかるので必ずしも適切であるとまでは言えない 云々」とお答えですが、鑑定人としての業務機会を逃すようにも読みとれますが、真意はいかほどにあるのでしょうかお示し下さい。
『参考資料1.提出資料』
 鑑定協会がADR検討会に提出した書類のうち、調停センター設置に関わる部分の抜粋は以下の通りである。
2.当協会が目指す裁判外紛争解決手続きについて
(1)司法制度改革との関係
 政府が進めている司法制度改革については、当協会としてもこれに注目し、平成 15 年頃から当協会内で検討を進めてきましたが、平成15 年7 月司法制度改革特別委員会を設立し、裁判外紛争解決手続き(以下「解決手続」という。)に関するガイダンス研修会を実施する等、所要の研鑽を重ねるとともに、運営のための諸規程を作成し、今日に至っております。
(2)当協会が目指す解決手続きにおいて取扱う案件
① 地代、家賃紛争
② 借地非訟事件に係る借地権の譲渡・増改築・更新料等の各承諾料の評価
③ 遺産分割の財産評定
④ 離婚に伴う財産分与
⑤ 借地借家法の正当事由を補完する金銭的給付
⑥ 借地権価格
⑦ その他不動産の価格に関する紛争
(3)調停センターの運営
 調停センターは本会内に設置し、(社)東京都不動産鑑定士協会(以下「東京士協会」という。)での常設の無料相談会や東京商工会議所内等の無料相談会と連動して行います。調停センターの調停人は当協会の会員の中から民事・家事調停委員(全国約662 名)、借地非訟事件手続規則に基づく鑑定委員(全国約800 名)、競売評価人(全国約1,240 名)、専門委員(東京約200 名)、司法委員(若干名)、その他特殊技能をもつ多くの会員を中心に、所要の研修を実施した会員をもって組織します。
 特に調停人が精通している地域を予め定め、その地区別に調停人を配置し、その中から事案ごとに最適な調停人3 人を選びます。調停案は調停人の合議によることとし、調停や合意に達した時の調書は予め定められた弁護士の協力を得て作成いたします。
(4)実施時期
 平成16 年11 月2 日に調停センターを開設すべく、すでに開設日の機関決定を行っており、目下その準備を急いでいます。
『参考資料2.検討会議事録』
ADR検討会(第37回) 議事概要
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/adr/dai37/37gaiyou.html
 隣接法律専門職種等に対する裁判外紛争解決手続の代理権付与に関する要望等について、提出資料に基づきヒアリングを行ったのち、それぞれの説明に対して質疑応答がなされた。主なものは以下のとおりである。
(◎:座長、○:委員、●:説明者:横須賀鑑定協会会長)。
(社団法人日本不動産鑑定協会に対する質疑)
横須賀博(社団法人日本不動産鑑定協会会長)
○ 遺産分割の財産評定や離婚に伴う財産分与や借地借家法の正当事由を補完する金銭的給付についてADR代理権を付与されたいとのことであるが、それらの事項において、不動産鑑定士が関わる局面は紛争全体の中の一部に過ぎない。そのような紛争における不動産鑑定士の関わり方についてのイメージを御教示願いたい。
● 相続の場合において、不動産価格が問題となった場合について、ADR代理に限定することを考えている。そういった紛争において、まずは鑑定の面が問題となって紛争が発生することも多い。
○ そのような事例において、ADR代理よりも適切な関与の仕方があるのではないか。今の説明を聞くと、例えば鑑定人、補佐人として関わればよく、なぜ代理人とならなければならないのかという説明になっていない。
● もちろんそのような関与の仕方も考えられるが、鑑定には費用もかかるので必ずしも適切であるとまでは言えないのではないかと考えている。
日本不動産鑑定協会が目指す裁判外紛争解決手続き『提出書類』
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/adr/dai37/37siryou8.pdf
同じく日本弁護士連合会提出書類
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/adr/dai37/37siryou9.pdf
※上記の内、鑑定士についての意見
「鑑定士への代理権付与について弁護士会の意見」
 不動産価値評価に関する鑑定人としての専門性を有するが、
紛争解決の代理人としての専門性はなく、代理を認めること
は相当でない。

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