鵜の眼鷹の眼、生馬の眼

【只管打座:鵜の眼鷹の眼、生馬の眼:05.02.12】
 鵜の眼鷹の眼、生馬の眼(生き馬の眼)という訳である。
日鮮サッカー試合に眼を奪われている間に、またまたライブドアが放ってくれた「耳目を集めるニュース」である。
 インターネット関連会社・ライブドアの堀江貴文社長は8日夕、東京都内で記者会見を開いた。
同社が取得したラジオ局のニッポン放送(東京証券取引所2部上場)の発行済み株式の35.0%を「長期保有する」とし、同放送が筆頭株主となっているフジテレビジョン(東証1部上場)を中核とするフジサンケイグループと資本・業務両面で提携して、ネットとテレビ・ラジオを融合したビジネスをめざす方針を表明。
 同放送を子会社化するために同放送株を公開買い付け(TOB)中のフジテレビは反発しており、フジサンケイグループの経営主導権をめぐる争いが本格化する。 (http://www.asahi.comより引用)
 ライブドアという企業というより「ホリエモン」は、プロ野球参入争いで負けはしたが、その後も何かと世間の耳目を集めながら、自社の価値と存在感を高めようと手練手管を尽くしている。高知競馬で「ハルウララ」に代わろうとしたり、岐阜・笠松競馬でも「アンカツ騎手」に代わる話題造りに協力しているのを垣間見ると、何とか二番手企業からTOP企業へ脱皮したいと『足掻いている』。そんな感じもするのである。
 一見すると、上手いところを突いたものだと見える。
ニッポン放送(中波ラジオ)とフジテレビの関係は子亀が親亀を支配する状況にある。売上300億、資本金40億、資産総額1600億という東証二部上場ラジオ局が、売上3600億、経常利益400億の東証一部上場TV局を支配するという構図になっている。
その事実上の子亀(資本構成上は親亀)であるラジオ局企業を700億円(資本市場の錬金術で造られた金ではあるが、成り行き如何ではとんでもない重荷になる)で支配することができれば、安い買い物であるが、そうは簡単に問屋が卸さないであろう。
 フジテレビがニッポン放送にTOBをかけているのも、そのようなネジレ状態を解消したいからであり、村上ファンドが保有する約19%のニッポン放送株を取得するか、意味のないものにしたいからでもあろう。
 それらの間隙をぬって、ライブドアが殴り込みを懸けたという訳である。
ソフトバンク&ヤフーグループや楽天グループのように一番手企業としての安定性と支配力に欠けるライブドアとしては、野球の仇をラジオでということのように見えるが、ことはそう単純でもなさそうである。
 「ライブの狙いは、フジテレビ」ということはないであろう。
700億円でフジテレビが支配できれば安いが、フジの逆襲策もあるだろうし、子亀親亀どころか、孫亀が親亀支配など所詮無理というものであろう。
 ライブ即ち「ホリエモン」の狙いは、横浜ベイスターズかヤクルトスワローズか、大穴は産経新聞という辺りだろうか。
IT関連企業としてポータルサイトへの集客力を向上し、ヤフーや楽天に肩を並べるには、ソフトバンクや楽天と同じようにプロ野球チームを保有して露出度を高めるか、いっそのことニュースの現場に確たる橋頭堡を維持し一次発信媒体である新聞社をその傘下に納めてしまうという考えがあるのかもしれない。
 ライブドアの売り線であった「Blog」も、類似サービスを大手が始めてからは鮮度を失いつつあるようだし、次の一手として産経新聞を狙うというのは悪くない選択というより、とても佳い選択のように思える。
何よりも政府自民党御用達媒体と化している産経新聞が、IT企業傘下に納まるということは、メデイアの在り方に変化を生じるかもしれない。今よりも悪く変わる可能性も否定できないだろうが。
 まさに鵜の眼(鵜は、結構横捕りがうまい。正しくは楽天イーグルスの眼)、鷹の目(当然、ソフトバンクホークスの眼)、そして生き馬の眼を抜くというライブドア(ライブドア変じてライブホース)という訳であろうか。
乾坤一擲のこの勝負、連休明け以降の展開が、とても楽しみである。
※産経新聞のこの記事の取り上げ方
ライブドア、ニッポン放送株取得 時間外取引、28分間の“裏技”
http://www.sankei.co.jp/news/050211/morning/11kei003.htm
※参考記事 ガ島通信
http://blog.livedoor.jp/zentoku2246/archives/13886443.html
※参考記事 R30マーケティング社会時評
http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2005/02/bluff.html#more

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