新スキームの具体的イメージ

鑑定協会というよりも鑑定業界の将来を大きく左右すると考えられる情報や提案等を三件開示します。提案等は私的なものですが、鑑定協会・新スキーム受入体制整備のための合同特別委員会宛に提案済みです。


その1 地価公示の枠組みによる取引事例の収集・提供制度の実施
この制度の実施に伴い必要とされるネットワークシステムの構築に関して、先頃鑑定協会会員の一部に対して、アンケート調査が行われました。その折りに配布されたアンケート依頼文書を開示します。
この依頼文書は制度の概要について的確にまとめられています。
その詳細は下記のPDFファイルをご覧下さい。
その一部を抜粋します。
※国土交通省では、平成17年度から一部地域で同制度を試行することとしており、現在、貴殿(茫猿注:アンケート対象会員)が所属している分科会もその候補区域となっています。
※標記制度では、登記情報等の電子データの受渡がオンラインで行なわれることとなり、情報漏えいや毀損を防止する一定の技術的安全措置を講ずる必要がある。(茫猿注:保護法ガイドライン遵守)
※試行区域においては、18年地価公示評価員の応募要領の中に、別添アンケート2ページ枠囲い部分に記載した条件が盛り込まれることとなる方向です。(茫猿注)この条件とは以下の各項である。
1.インターネットへ接続できる環境があること。
(茫猿注:インターネット環境とは、光またはADSL等高速接続環境を云う)
2.本ネットワークを利用するためのパソコンが準備できること。
(茫猿注:この二、三年以内に購入した普通のPCならOKでしょう。)
※本制度を受け入れるために、データ管理について組織的、人的、物理的及び技術的安全措置を取ることが前提となっており、特にセキュリティ面で一定の技術的な安全措置を施すことが求められることから、平成17年1月18日開催の第240回理事会において、コスト負担を前提にしたネットワークシステムの構築が承認されました。(茫猿注:次2項を参照して下さい。)
※なお、本制度が地価公示の枠組みで行われるため、その作業を地価公示の鑑定評価員が行うことから、地価公示鑑定評価員の委嘱要件として本会ネットワークシステムへの参加、本制度への協力が明記される予定となっております。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050312184029004.pdf
その2 安全なシステム
前述のとおり、個人情報保護法の施行に伴い、安全性の高いネットワーク構築が不可欠な状況にある。これは取引事例の収集・提供制度の試験施行に関わるか否かは問われない。正しく認識されているようには見えないが、旧スキームにて事例収集を行う全国都道府県士協会においても喫緊の課題である。
このセキュアなシステム設計については、次のPDFファイルをご覧下さい。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050312184056004.pdf
その3 ネットワークシステムの全国展開
以上、二項の実施が先ず最初に要請されるのは、東京・神奈川・埼玉・愛知・大阪・京都の各士協会である。その構築期限は、テストランや会員の習熟期間を考えれば早いほうが望ましいが、多分05/06/01頃までには構築されなければならないであろう。
しかし、前述のように、旧スキームの事例収集閲覧事業も旧態のままでは危険度が高く、各士協会のコンプライアンス姿勢が問われるであろう。
したがって、各士協会のネットワーク構築が急がれるし、そのネットワークは新スキームに即応したというよりも、新スキームを最大限効果的に機能させるものでなければならない。
その意味から、新スキームを基礎にして全国都道府県士協会が採用できるであろうシステム設計と見積をソラン(株)とNTTコミュニケーションズに依頼したのである。システム設計の詳細は下記のPDFファイルを御覧頂きたいが、設計見積に際して、茫猿が提示した条件は既に『鄙からの発信』で再三述べてきたものを集約しただけである。(茫猿注:ソランとは地価公示点検選定替システムを構築する企業である。)
1.各士協会の独立性、自主性が確保できるシステムであること。(地方分権)
2.全資料の作成から閲覧に至る工程が明らかになること。(明認・追跡可能性)
3.役務提供者と便益享受者の均衡が図れること。(LOG利用の課金可能性)
1項については、データ移管の安全性と迅速性が優先されることであり、
2項については、保護法ガイドラインとの関連からトレーサビリテイが優先されることが重要である。
3項については、微妙な問題を含むものであり現時点での一案と考えて頂きたいが、以下の様なシステム構築が可能なのである。
a.会員証のICカード化
鑑定協会・会員証をICチップ内蔵・写真貼付のカード化する。
このカードはカード会社と提携して、決済機能を持たせる。
b.各士協会事務局での事例閲覧
各士協会事務局での閲覧は、ノートパソコン等を利用するデジタルシステム閲覧となり、この際に会員確認は前述のIC会員証にて行われる。
各士協会事務局ではカードリーダーにて会員確認を行うと同時に、閲覧料をカード決済する。後日、事例閲覧料並びに印刷料は会員の指定する口座から引き落とされる。また、以上の事務作業はネット上で自動的に行われる。
c.閲覧料の課金配布システム
各士協会への閲覧料等配布は、単純にLOGカウントに応じて行う方法もあり得るが、システムの全国展開が必須であることと、小規模会の財政負担軽減を考慮して、基礎的配分額と比例配分額に分けるのが望ましい。
http://www.morishima.com/cgi-bin/k_data/pdf/bin/bin050312184115004.pdf
(茫猿注:ファイルは設計見積だけで、金額見積は開示していません。また、この見積はソフトに関するものであり、ハードに関するものは別途提示される予定です。)
『重要な補足』
1.閲覧に供する事例資料とは
以上に云う事例資料閲覧とは、各士協会がその事務局で行っている公示等事例資料の鑑定協会会員に限っての提供、閲覧行為を指すものであり、具体的には四次データの閲覧利用である。
この事例閲覧提供は、従来は紙データで行われてきたが、今後は様々な理由からデジタル閲覧が好ましいと考えられるものである。
2.事例調査項目について
事例調査(三次データ調査入力)に関して、一部会員から事務所内・机上調査にて可能な範囲に限るべきと云う意見が出されている。
しかし、これは大きな間違いである。なぜなら机上調査で済むものであれば、何も不動産鑑定士に調査担当者を限定し、公示スキームで鑑定協会に委託する必要などないからである。具体的には調査委託対象が広範囲となり、事業委託は競争入札契約となるであろう。
不動産鑑定士が現地に赴き、種別類型等をはじめ現況を把握し、配分法を適用する作業を行うことから、当該業務は不動産鑑定士に限定して、具体的には鑑定協会を相手先として随意契約が行われるのである。不動産鑑定士独占業務であるが故の優位性を忘れてはならないのである。
3.事例調査費及び閲覧料について
アンケート郵送費を負担するのに、事例調査費が支給されないのはケシカランという意見があります。しかし、公示等評価委託料には事例調査費が含まれていることを忘れないで下さい。
閲覧料は全国平準化が望ましいと同時に、小規模会もネットワークへの参加が不可欠である以上、小規模会への手厚い配分を考慮することはとても重要である。
4.用語の解説
一連のネットワーク構築関連の記事に関して、その用語解説については、以下の Web Site にてご参照下さい。
マイクロソフト単語帳
http://www.microsoft.com/Japan/Terminology/query.asp?ui=L
アスキーデジタル用語辞典
http://yougo.ascii24.com/gh/06/000650.html

関連の記事


カテゴリー: REA-NET構築 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください