ミネルバのふくろう-3

【茫猿遠吠:ミネルバのふくろう-3:05.03.25】
 先号の茫猿遠吠「米櫃の危機」は、日頃品性を大切になどと申している割には、品格に欠ける表現が多い記事でした。
イエイエ、決して訂正しようなどとは考えておりません。
本日も旧知の自販会社オーナーが訪れてきて、
個人情報保護法対策が大変だとこぼしていました。
 そこで彼と話しているうちに気付いたのですが、
彼をはじめ最近茫猿に保護法対策を教えてくれる経営者や管理職などは、直接的に顧客情報を扱い顧客と対面しているということです。
 しかし、鑑定士が扱う個人情報は二種類あり、
その一つは直接対面している顧客の情報ですが個人情報は比較的少なく法人情報が多いし、全体量も半年間5千件に到底及びません。
 もう一つが、何度も話題にしている事例関連個人情報です。
ところが、この種の情報について我々鑑定士は一般的に
当事者と対面することはありません。
いわば、顔の見えない情報と化しており、
それらの情報の向こう側に個人が存在することは理屈として理解しても、実感を伴うことは稀でしょう。
そのことが、我々の切迫感を薄めているのだろうと考えますが如何でしょうか。
 さて、続編を書けずにいた標題のミネルバのふくろうですが、
ブログ風に読書紹介日記としてみます。
惹句はサイト掲載記事の引用です。
一部書籍は以前の紹介と重複すかもしれませんが、御容赦下さい。
『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由』
フェルミのパラドックス
著者名 : ウェッブ,スティーヴン 出版社名 : 青土社
出版年月 : 2004年 07月出版    税込価格 : \2940
     
1 みんなどこにいる?
2 フェルミとそのパラドックス
3 実は来ている
4 存在するがまだ連絡がない
5 存在しない
6 結論
 宇宙がエイリアンだらけならみんなどこにいるの?
20世紀を代表する物理学者フェルミが提出したこのパラドックスを解決する
ために、宇宙論、物理学、生物学、数学、確率論から社会学、SF的想像力ま
でを総動員し、宇宙と生命の謎へと挑む極上のサイエンス・エンタテイメント。
【 茫猿評 】
 正直言って、少し難しい。
でも、たまには不動産を離れて、といっても不動産は地球の一部だし、
地球は太陽系の一部だし、太陽系は‥‥‥‥‥。
難しいところは飛ばして読んでも、判るところだけ読んでも、
面白いと思います。
やはり極上のリベラル・アーツ(liberal arts )でしょうね。
『梅原猛の授業 仏教』
著者名 : 梅原 猛      出版社名 : 朝日新聞社
出版年月 : 2002年 02月出版 税込価格 : \1365
     
 なぜ宗教が必要なのだろうか
すべての文明には宗教がある
釈迦の人生と思想を考える
大乗仏教は山から町へ下りた
生活に生きる仏教の道徳
 討論・人生に宗教は必要か
日本は仏教国家になった聖徳太子、行基、最澄
空海が密教をもたらした
鎌倉は新しい仏教の時代(法然と親鸞日蓮と禅)
現代の仏教はどうなっているか
いまこそ仏教が求められている
【 茫猿評 】
 日本人の多くは一応は仏教徒であり、同時に神社氏子でもある。
しかし、一部の人を除けば、基本的な宗教教育を受けていないから、
仏教の何たるかを知らず、
ただ抹香の匂いと訳の判らない読経として仏教を受け止めている節がある。
そんな人々にとって格好の入門書であろう。
 なお蛇足的に云えば、現在の神道のありようは、
明治期の廃仏毀釈令あたりから始まると考えた方が妥当であろう。
天皇家と云えども明治以前は仏門との関わりが深く門跡寺も多い。
 聖徳太子の例もあるし、
何より出家して法皇を名乗られた方も
平家物語の後白河法皇をはじめとして結構多いのである。
『博士の愛した数式』 
著者名 : 小川 洋子      出版社名 : 新潮社
出版年月 : 2003年 08月出版  税込価格 : \1575
     
 世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたった一つの数式で示した
記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの10歳の息子。
せつなくて、知的な至高のラブ・ストーリー
【 茫猿評 】
 ただただ、一読して下さい。少しは数学も出てくるが、
そんなところは飛ばせばよいし、ほのぼととした読後感が得られます。
しかも、嫌いだった数学になじみが持てます。
中学の数学教科書がこんなであったら、茫猿の人生は変わっていたかも。
『誰だってズルしたい!』
著者名 : 東海林さだお   出版社名 : 文芸春秋
出版年月 : 2004年 11月出版 税込価格 : \1150
     
見るもの聞くもの、腹の立つことばかり
世の中はズルの壁でできている
セコズル、オバズルが幅をきかす
あの××ズルを摘発せよ!
江ノ島を馬鹿にするものは江ノ島に泣く
現地ものの松井を見たい!
ヒデキ、野菜を取らにゃいけんよ
日本人よ、ガムを噛みなさい
迷解料理用語辞典
「えいごであそぼ」居酒屋メニュー
フードテーマパークはけしからん
地球滅亡の前夜に「最後の晩餐」
市ヶ谷の釣堀の寡黙な人々
ダミ入り、しわがれ、懐かしい声
「老人の主張」君たちは恥ずかしくないのかっ!
世の中は「ズルの壁」で出来ている
【 茫猿評 】
 寝っ転がって、読むしかない。
『在日』 
著者名 : 姜 尚中【著】《カン サンジュン》  出版社名 : 講談社
出版年月 : 2004年 03月出版 税込価格 : \1575
     
第1章 朝鮮戦争のときに生まれて
第2章 在日一世が生きた意味―二人のおじさんの人生
第3章 「尚中」が「鉄男」を捨てた夏
第4章 ドイツ留学―故郷と異郷
第5章 父の死と天皇の死と
第6章 社会的発言者へ
第7章 新たな疾風怒涛の時代へ
第8章 東北アジアにともに生きる
自分の内面世界に封じ込めてきた「在日」や「祖国」。
今まで抑圧してきたものを一挙に払いのけ、悲壮な決意でわたしは「永野鉄男」
を捨てて「姜尚中」を名乗ることにした。初の自伝。
【 茫猿評 】
 以前にも確か紹介したと記憶する。とにかく一度読むべきである。
現代史、近代史に比較的疎い我々が知らなかった
戦後の裏面史に気付く一助となるでしょう。
『わたしと小鳥とすずと 金子みすゞ童謡集 』
著者名 : 金子 みすゞ   出版社名 : JULA出版局
出版年月 : 1984年 01月  税込価格 : \1260
『このみちをゆこうよ 金子みすゞ童謡集 』
著者名 : 金子 みすゞ  出版社名 : JULA出版局
出版年月 : 1995年 03月  税込価格 : \1260
【 茫猿評 】
 本日の超お薦めです。
心洗われるという言い方は通俗的で手垢にまみれた感じがするのだが、
樋口一葉だけでなく、戦前の日本にこういう詩がかける
夭折した人がいたということ、それだけで日本が好きになります。
茫猿は、「大漁」、「山と空」なんかが好きです。
書名の「わたしと小鳥とすずと」も「このみちをゆこうよ」も好いです。
・・・・・・いつもの蛇足です・・・・・・
※実も蓋もなく老醜を揶揄した詩です。
 くどくなる、気短になる、ぐちになる
 思いつくこと みな古くなる
 聞きたがる、死にともながる、淋しがる
 出しゃばりたがる、世話焼きたがる
 又しても同じ話に孫ほめる
 達者自慢に人をあなどる
「横井也有 鶉衣 より」
http://www.geocities.jp/haikunomori/yayu/yayu-mn.html
※続いて、老醜をいとおしむ詩です。
 鏡を見るたびにギョッとするわね。
 つくづく時間の力は恐ろしい。
 このシミ、この皺・・・・・
 でもねえ。
 そのシミ、その皺一つ一つだって
 親切に時間が選んでくれたスタンプだよ。
 その顔は 
 謂わば丁寧な集印帖さ
 古いほど値が上がる
 こともある
天野 忠 老醜
http://homepage1.nifty.com/B-semi/daturyoku/amano.htm
【そういえば、茫猿の顔にも少しずつ、シミが増えてきた
 まだ薄いけど、いずれ濃くなり、大きくなるのだろうな。】

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