寅さん48作一挙放映も毎週見続けていると少し飽きてきた。
今週は上京することでもあり、違う角度から寅さんを眺めてみたいと思う。
先月の初めにも葛飾柴又を訪れたが時間がなくて割愛した江戸川べりを歩いてみたいと、品川で新幹線を下車して京急・都営地下鉄・京成と乗り継いで柴又に再度足を延ばしてみる。とはいっても、前にふれたように品川からは相互乗り入れであり、品川と柴又の一つ手前の駅高砂までは乗り換え無しである。
第四作で登場した笠智衆氏が園長で栗原小巻さんが保母さんを演じるルンビニー幼稚園なるものがよく理解できなかった。おしゃれなカタカナ名前が栗原小巻はともかくとして、寅さんや笠智衆演じる午前様とどうにもミスマッチで違和感を感じていたのである。でもしかし、柴又帝釈天付属ルンビニー幼稚園は帝釈天本堂の東側江戸川よりに実在するのである。
なお、ルンビニーとは釈迦降誕の聖地のことであり、仏教寺院系の幼稚園や保育園ではしばしば呼称されている名前である。余談だが、こんなこともインターネットで簡単に調べがつくと云うことは辞書辞典で育った茫猿には今更に驚きであると同時に、辞書辞典に親しまない昨今のネット派若者の行く末を思えば少なからず不安なのである。
続いて、漱石や潤一郎も愛でた江戸川べりの川魚料理屋である。鯉の洗い、鯉コク、鰻重に小鉢がついて三千円余である。法被姿の下足番がいて仲居さんが給仕してくれる座敷に上がり江戸川を眺めながらの食事であるから、さほどに高いとは思わないが、鯉コクが甘すぎるし、蒸し上げてから焼く江戸風蒲焼きは茫猿の好みでないことに、食べ始めてから気付いた。要するに美濃人の茫猿の口には鯉みそ汁もウナギも合わなかったと云うだけのこと。
ビールのほろ酔い気分に委せて江戸川の河原に降りてみる。映画のなかでは三十数年前の江戸川である、河原は整備されていないし、堤防も今に較べればお粗末である。現実の江戸川は河川公園が整備されているし、舗装も行き届いている。
かすかに過去の面影を偲ばせるのが、今も手漕ぎの渡し船が行き交う矢切の渡し場付近の情景である。今どき、手漕ぎの船に揺られて優雅に江戸川を往復して(往復約20分)、それでたったの二百円である。なお矢切とは対岸側千葉県の地名である。
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