茫猿は鑑定協会オンラインネットワーク構築を提唱し、その実現に向けて微力を傾注している。徐々に理解者は増えつつあり、新スキームの拡大充実のためにもネットワーク構築は不可欠という認識も共通のものになりつつある。茫猿はその確信を深めつつもある。
茫猿がネットワーク構築を提唱し推進する一番の理由は、「鑑定評価情報基盤の整備」にある。個人情報保護ガイドライン対策だけでなく、事例の閲覧管理だけでもない。というよりも、それらは二の次三の次であり、基本は情報基盤整備である。フラットで双方向性ある情報基盤を整備することがこれからの鑑定評価業界にとって不可欠であろうと考えるからである。
プライベートなネットワークは様々な組織態様で充実していることであろうが、鑑定業界は未だオフィシャルな充実したネットワークを持ち得ていない。このネットワーク上で地価公示と地価調査業務が遂行され、ひいては鑑定評価ナレッジマネージメントが拡充してゆくというのが、茫猿の描く近未来像である。
しかし、これは多分実現しないであろう。地価公示がオンラインネット上で遂行されるところまでは実現する。現に実現させている単位会や分科会も存在する。しかし、双方向性とか本来の電子会議とかナレッジマネージメントといったものは実現しないであろう。実現するとしても、茫猿がそれを見ることはないであろう。
何故かと云えば、この十年間の茫猿の「Web Site」活動経験が全てを指し示しているからである。情報基盤整備と情報の発信量増加は直接的に結びつかないことが経験則的に云えるからである。
別の云い方をすれば「情報基盤整備」は「道具の改善・改良」にしか過ぎないのである。どのような便利な道具(例えばマイクやホワイトボード、プロジェクター)が与えられたとしても、会議の発言量が変わるわけではないし、積極的なかつ確かな発言が増すわけではない。受け身の存在はよほどのことがない限り、よほどのことがあっても受け身のままなのである。
鑑定業界にWeb Siteは結構多いが、定期的に更新を続けているサイトはとても少ないのである。ブログとて同じ状況である。これは何も鑑定業界だけのことではなく日本人の性癖とでも言えるのかもしれない。ブログが第四のジャーナリズムに為り得るかという問い掛けが暫く前にあったが、否定的な或いは悲観的な見解が多かった。
なかには、自己の見識レベルが低くて付和雷同性が高い多くの日本人にとっては、匿名性が高いインターネットという玩具はとても危険な存在になる。いや既になりつつあるという意見さえも存在した。
『幼児性が高い人々に手軽で匿名性が高い玩具を持たせることほど、始末に悪いことはないのである。』
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