新スキームの先行きや如何

前号「隔靴掻痒」記事末尾で
『云いたいことは、行政が挙げ膳据え膳で準備してくれるのを根気よく待つことや陳情することを繰り返すばかりでなく、自助努力を始めると云うことであり自助努力が報われる施策や事業計画を提案するということではなかろうかと考える』と述べました。
折しも12月9日、国交省総合政策局不動産業課は「不動産取引情報の提供のあり方に関する検討委員会」と題するとりまとめを発表したのである。取り纏め巻頭は以下のように述べている。


『不動産取引は高額な取引であることから、消費者の不動産取引価格等に対する不安感は大きく、こうした不安感が不動産取引を躊躇させる原因の一つとなっているとも考えられます。このため、平成17年5月より、学識経験者、事業者団体及び行政関係者を構成メンバーとする「不動産取引情報の提供のあり方に関する検討委員会(委員長:井出多加子成蹊大学経済学部教授)」において、指定流通機構(レインズ)の保有する不動産取引価格情報を活用した消費者への情報提供のあり方について検討を行い、12月9日に委員会報告をとりまとめました。
今後、このとりまとめに即したシステムの構築を行い、2006年秋の試行を経て、2007年4月からインターネットを通じて消費者に情報提供を開始する予定としております。』
不動産鑑定士が関与する新スキームすなわち「不動産取引価格情報の提供制度の創設」検討が何時の時点から始まったかについては幾つかの意見があろうが、国交省土地・水資源局土地情報課が制度創設に関して意見募集を行ったのは2003年7月である。それから既に二年余が経過したのであり、来年はレインズをバックとする強力な取引情報提供制度の開始が予定されるのである。
新スキーム並びに地価公示事例収集の先行きに予断を許さないと考えるのは茫猿だけであろうか。新スキームに対する鑑定士の取組が如何にあろうとも社会の趨勢に抗することは難しかろう。しかし、鑑定士の取組が制度の先行きを危うくすることだけは避けたいものである。またもや杞憂たらむことを願う茫猿なのである。
【参考までに、あり方検討委員会の主要メンバー表である】
(社)全国宅地建物取引業協会連合会 流通委員会委員長
(社)全日本不動産協会 流通推進委員会副委員長
(社)不動産流通経営協会 事務局長
(社)日本住宅建設産業協会 理事・事務局長
(社)不動産協会 事務局長代理
(財)東日本不動産流通機構 事務局長
(社)中部圏不動産流通機構 副会長
(社)近畿圏不動産流通機構 副会長
(社)西日本不動産流通機構 専務理事
(財)不動産流通近代化センター 理事

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