第247回理事会報告(H18.1.17開催)

 T理事からご快諾を頂戴致しましたので、リポート全文を紹介します。
ただし、個人名の置き換え並びに一部の推敲を行っております。
第247回理事会報告(平成18年1月17日開催) 「T.T.理事筆」


1.議題
(1)懲戒処分
抵当証券交付申請書添付のための担保のための鑑定評価。
ゴルフ場。適正な価額の逸脱。著しく公平性・客観性を欠く。
債権回収が事実上困難。重大な社会問題。損害賠償請求事件(平成14年(ワ)7675号。H16年9月22日判決。新聞報道。 鑑定評価への社会的信頼の失墜。
 内容について
確定:実測と登記面積との関連についての説明の欠如。
素地価格:山林ではなく、宅地・準宅地の事例を使用。
開発法:過疎化が進行しているエリア。実現性の乏しい合理性を欠くもの。
造成費及び付帯費用:1ホール280百万円とするが、内訳価格不明。
専門家の意見等の根拠を附して説明すべき。
収益還元法:各項目について根拠無し。必要な資料情報のない預り金の運用益を計上。 
かつ、収益価格と積算価格との階差率1.3%。還元利回り低い。
  以上から不当鑑定と判断された。
その後国土交通省から、鑑定士の登録削除。懲戒処分。他にも似た事案あり。要注意   『 承認。』
(後から意見あり)
懲戒処分について
・控訴中に「懲戒処分」というのは、被告に不利な状態ともなりかねないので、慎重にすべきであろう。
<T理事の意見>
・ゴルフ場の評価は、富裕層が多く収益性が高いもの(しかも市街地に近い物件程)は、積算並みの評価となることもあるが、それ以外の通常の一般人を対象としたゴルフ場は過当競争により、値下げが続いており、収益性が低く、収益価格もマイナスとなることもある。さらに立地的に人口希薄ないし減少地域では、開発法の適用自体、現実的ではなくなることがある。総じて二極化が進行しているので、どちらに属するのか慎重に見極めるべきであろう。
・昔は抵当証券であるが、今はファンド系か?他山の石とすべきであろう。
(2)役員選挙の一部改正
現行問題点:会長も副会長も異なる選挙区で選出され、異なる公約でも当選することもある。
改正後:副会長5名のうち2名を理事会の議を経て、会長が理事から指名
全国選挙を廃止。選挙選出副会長3名、東日本、西日本、東京の3つのブロックから1名ずつ選出する。愛知県・静岡・岐阜・三重県は東日本ブロック。
目的:会員の意志をより反映した会務運営を円滑に。会長がリーダーシップを取りやすい体制のため。(別紙他団体の組織について、がある)
<意見・質問>
・I理事(別紙あり)
 本会に対する要望も多方面に渡る。副会長の数だけ、会長と意見を相違することは、当然の帰結。
副会長の重みの軽視となっているのではないか。
見解の相違は激しいが、調整するのが会長職。
会長・副会長選挙において意思表示された会員の声をとりまとめて、
会長のリーダーシップとは、会員の総意をくみとり、これを会務運営に反映させること。
補佐役としての位置づけ:権力機構の相互コントロール。
権力の乱用の防止。 
 似て非なる他団体を持ち出して比較しているが、根本的比較分析がなく、、改正案の説明責任を放棄している。
・N理事
ABCの3つの案を出したが、A案:全国区のみを指示。
副会長選挙:複数の全国意見を選出結果として示すことができる。
他業界では、人数が何万人もいる。我が方は人数も少なく、現状が最も民意を反映しやすい。
権力集中することがミエミエ。
複数の意見を立体的につかんで判断する仕組みを維持すべきである。
指名制度は再検討を要する。
・返答:◎副会長
選挙にでる会員の負担が大きすぎるので軽減させたい。
優秀、かつ変革意欲に富むものを選びたい。地方に埋もれている人を発掘したい。
会長の権利の乱用懸念については、情熱をもって会の繁栄に尽くしてきた姿からは考えにくい。
会長のみ選挙として、合理的・機動的な会務の運営を。
・B理事
権力の集中が最も心配である。他団体にも見られない例である。
民主主義は時間とお金が掛かるもの。効率的ということから押し切ると全体主義となる。
多様な意見をもつ会員を束ねて、時間を掛けてやるべき。民主主義にも反する。
 現行通りでよい。
・◎副会長
 行政書士では、似た例あり。新しい会長が総会の最終日に人事構想(副会長6名)を発表、承認を得る。 理想論では、様々な問題に対応できない。
・Y理事
 3人が選挙で今までと同じ。
 副会長選挙は地域を割ってやるべき。
Y会長
今の定款、昭和40年。トップダウン方式となっている。ボトムアップでなければ組織として、力を発揮しにくい。
地方の声を全国区で選挙しても反映しにくいのではないか。
 他団体では副会長選で、全国の選挙をやっているところはどこもない。理事選のみである。
 今までの慣習をうち破って新しい人がやるのに力が湧くような体制を作りたいのだ。
 私の任期中に、少しでも一歩でも前に進みたい。
建設的な意見を待つ。
◎副会長
 規約の改正をしないで、今期は前に進みたい。だから3名を残した。
Y理事
現行執行体制で物足りなさを感じているのか。
定款にあるが実行したこと無いのか。
会長が指名するのは納得できない。5名を全国区で選ぶ方がいいのでは?
Y会長
全く違う。うまくいっていないとは言っていない。
優秀な人が全国の選挙に出てやるのは大変でとってもできないでであろう。
そういう組織で良いのか。そういう積み上げの組織でなければならないのではないか。
◎副会長
本日決めるのでは止めては?
I理事
定款の13条2項参照
会長は同1項。
会長と副会長の役割分担が明確でないことが本質的・根本的な問題。選挙民にはとてもわかりにくい。
Y会長
事業計画があるのだから、その承認のときに決める。公約を盛り込むかどうかは別問題。
結論は事業計画が全て。
N理事
・会長には補佐官職が必要なのではないか。事業計画の早急な実施からも必要。
委員会で継続審議。
<T理事意見>
・選挙に出馬してでも、理事会に出席したいと思う若手鑑定士はごくわずかであろう。仮に出席したとしても自分の意見がどの反映されるのか不安でもある。とはいえ、副会長というポストに改革に意欲がある若手鑑定士を登用したいという会長・石橋副会長の「改革」の気持ちが伝わった。
・他方、権力の集中を懸念する声も聞かれた。都会VS地方、ベテランVS若手など多種多様な意見があるのだから、当然なのであろうが、現状では若手の数が絶対的に足りないことは事実である。
・理事会構成メンバーとして、定年を設ける話も以前あったが、私としては、70代、60代、50代、40代ごとに1-2名ずつ定数を定めて、各選挙区で選挙させるという方法が良いのではないかと思う。既存の各県ごとのバランスが問題となってこようが・・・。
    
(3)個人情報保護法漏洩保険の手続き
 企画委員会
 資料2参照。
個人情報の漏洩等の不測の事態が発生した場合、業界の社会的深代の低下を最小限に押さえるため。
てん補限度額1億円。1年ごとに保険更新。
保険料:地域会2.5万円、その他市況会1−3万円
・閲覧業務で閲覧者を通じて外部に漏洩した場合、保険金でない。
 対策:閲覧履歴・立証・漏洩先の特定など
・加入しない士協会が出た場合には保険割合は割高となる。
 152万円の見込み(案では約147万円)
・新スキームでの大量の個人情報を扱うことからも必要ではないか。
(4)その他
 ①企画委員会
 公益法人制度改革に対する意見(案)
 19日17時までに意見があれば、述べてもらいたい。
 
論点:社員の除名、理事の選挙選出、現物出資、特定な利益について、同一親族等、内部留保、公益的事業
②地価調査委員会
資料3,P4
・委員会開催:広域的な地価動向についての情報交換として、国土交通省の鑑定官にも出席を依頼した。
 名古屋38%、表参道28%、港区住宅平均17%超,商業平均11%超。
十分な説明力に富むモノを。
・Jリート(めざましテレビ)、耐震データ偽造問題(NHK))について取材を受け、TV放映。
・中部地域で、地価公示事例作成のコスト計算を行っている。報酬の増額にむけて協議を進めていきたい。目減りを避ける。
 代表幹事・幹事の負担軽減について検討中。
・納税者である国民に、地価動向を説明するための資料である意義。
・負担軽減のためには、オンライン・システム化をもっと進めるべき。
・チェックシステムの効用:国民に向かって情報開示。説明しきれないケアレスミスの防止に役立っている。
③企画委員会
資料3
④総務財務委員会
・事務局の勤務心得運用指針(案)
 具体的事実的な指針。セクハラ。個人情報保護。
<T理事の意見>
・本会事務局の管理問題が露呈したため、こうした通常の企業のような指針が出された。
・指針が出ても、それを管理する恐い存在がいない(目が届かない)ことが本質的な問題なのであろう・・・。
・地方圏では規模が小さいため、あまり問題にはならないが、規模が大きくなると必然的にこのような問題がでてくる。今まで放置してきたツケが回ってきたともいえる。
⑤業務推進委員会
一般競争入札に関する検討結果(中間報告)
一般競争入札制度に対する対応:難しいのではないかと。
 何らかの方法で品質管理が必要となってこよう。
単位研修会(P3)
 発注側の意見を聞きながらやるべき。
固定資産税評価:高い倫理・公平性・中立性が養成され、公共性が高い。
納税者に対する継続的な説明責任を果たすためには、一般競争入札は望ましくない。
東京都税制調査会の答申 資産評価機構の設置を提言(要注意)
<他理事から意見あり>
入札について
・基本的認識の中で入札回避とするのは止めるべきではないか。
⑥資料委員会 資料3−−P11
・九州会では閲覧料を統一。
・閲覧停止制度の全国統一化。
⑦広報委員会
・朝日新聞の姉歯元建築士の不動産鑑定士の資格、誤報について。
広報部長からお詫び文書を得た。また訂正記事も出た。
⑧公的土地評価委員会
固定資産税評価について
⑨法務鑑定委員会
競争入札による契約に係る不動産鑑定評価業務の品質保持について。
会員向け
・法の求める水準を満たし、かつ契約を完全履行した内容の不動産鑑定評価業務を行った品質が高い水準のものが要求される。
・原価を下回る場合、品質が劣るものとなりがち。
 採算を度外視した低価格で顧客を雇用しようとする行為は「不公正な取引方法」となり公正取引委員会から摘発も。
<T理事の意見>
・法務鑑定委員会から出されたということは鑑定業界に在籍するものとしては、重く受け取るべきだろう。
・今回の理事会で最も大切なポイントであろう。
⑩新スキーム(P22)
11月末回収率、全国平均約25%(思ったよりも良い)
⑪実務修習、省令に対する意見 (P23)
・業務の外部委託はしない
・料金収納方法:当事者双方による申請により、一部又は全部免除可能。
・守秘義務:省令ではない
質問への回答:H理事
・議事録:匿名ではなく発言者明記すべき。
・静岡の事例、現地特定確認は可能となった。地元鑑定士は見せたいと言っている。
 現状では県の名前で事例を集めている。県が閲覧が困るという地方の実状を理解して欲しい。事例作成費用:1−1.5万円(地方はもっと係る)もある。
・取引事例を一般へ売却する行為は、罰則適用行為である。
・配付金(55百万円)を東京会から地方へ配分したらどうか。
内部留保は、備蓄として危急の歳に、貴重な財源として残してある。東京都の鑑定士の汗の結晶である、との意見がすかさず出された。
<T理事の意見>
これは将来、地方鑑定士VS都会鑑定士の争点となるかもしれない・・・
・地価公示の報酬3倍化について
 絶えず、国に申し上げている。しかし財政難であり、難航している。とりあえず負担の軽減に努めて、アンバランスの解消に努めている。
調査研究委員会
・継続賃料:月1回で作業を進めている。
⑬T.K.理事のご意見
国税庁の路線価・市町村の路線価業務を統合の上、鑑定協会で全国一斉に路線価の敷設業務の可能性を議論してもらいたい。この業務で年間一人あたり1000万円を超えるような仕事にしてもらいたい。
 国税庁に話をしたが、時間が掛かるとのこと(会長)
<T理事の意見>
・評価のバラツキ・鑑定士の安定財源の減少を一気に解決する一石二鳥の名案であるが、省庁の縦割り行政の壁・予算確保の問題などを考えると、政治の力が必要になってこよう。まずは、鑑政連への入金状況をもっと上げていかなければ到底実現し得ない。
・今までの官頼みの仕事をこれからも維持・増加させていくのであれば、政治の力を使わなければならない。そのためには鑑政連への納金が益々必要であろう。
・他方、官頼みから脱却して民間へとシフトしてくのであれば、政治への依存度を高める必要はないともいえるが、一般民間の信頼度向上のためには、商法などの法律に鑑定士の文言を引き続き記載してもらう必要があろう。そのためにはある程度、政治家の方々との連携は欠かせないのではないか。
以上

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