地方の陽ざし

 取引事例資料に係わる姿勢について、「都市圏と地方圏の二極化か?」という記事を最近に書きました。そんな折りも折り、茫猿と似たような地方都市で事務所を営むA氏からメールが届きました。
 春に背く寒い話題ですが、地価が30%も高騰しREITや私募債などで有卦に入っている都市圏域を余所目に、冷え切っている地方の実情を語ることも意味があると思うので記事にします。


「A氏のメール」
 ご無沙汰しております。
当方、今年に入って仕事はさっぱりですが、岐阜の方はどうでしょうか?
うちの事務所だけかなと思っていましたが、この間B鑑定と電話で話す機会
があり、彼も暇だと嘆いていており妙な安心をしたものの、一体鑑定はどうなるのでしようか。多分減っていることは確かなような気がします。
「茫猿のRES」
 慰め合っても仕方ないですが、私の受託状況もさっぱりです。
士協会の財政状況も厳しいから、次期役員も大変だと案じています。
「A氏のメール」
 岐阜もそうですかと安心しても仕方がないですが、
これからはこんな状態が続くのでしょうか。
割りと最近、C鑑定士さんと話す機会があったとき
「自分ところが暇だから後は推して知るべし」と言われましたが、
本当にそんな感じなんですね。
我々はもう上がりに近いからまだいいですが、若い人は大変でしょうね。
特に開業したてとかこれからの人は。
「茫猿のRES」
 昨年夏くらいから、状況は一段と悪化していると思います。
今年度はともかく来年度と云っても、もうすぐに四月ですが、
先が思いやられます。
でも原因は明らかなので、ある種の諦観状態にあります。
 官公需に関しては用地セクションが大幅に縮小されるか、廃止されつつあるという状況ですから、鑑定評価業務量が減ることはあっても増える見込みは皆無に近いと思います。
 以下は、東日本建設業保証株式会社が前払金保証契約を締結した公共工事をもとに、毎月の発注者毎の請負金額を集計したものです。記載するのは岐阜県内のデータで、H17年度は2月末データです。このデータを見て工事発注量はまだあるから用地取得もと考えたら誤ります。今やメンテナンスに追われているのが、日本の公共工事です。
(発注者国:件数▲56% 金額▲65%) 
H14年度 669件(878億円) H17年度 293件(308億円)
(発注者県:件数▲37% 金額▲32%)
H14年度 2,752件(1,130億円) H17年度 1.734件(768億円)
(発注者市町村:件数▲21% 金額▲34%) 
H14年度 2,412件(1,024億円) H17年度 1.914件(674億円)
 民需に関しては事例調査とか水準調査はありますが、鑑定書の発行業務は激減状態です。ビジュアル化された地価水準資料がこれだけWebの世界に溢れたら、値付け鑑定みたいな優雅で古典的な依頼が絶滅するのは当然すぎることでしょう。
『前門の公示・固評、後門の価格情報開示ということか!!』
 実は昨年の夏頃に東京でこんな話がありました。
「時価評価も一段落したし、債権処理も峠を越えた。」
「仕事が無いから、取引事例を閲覧する必要も少なくなってきた。」
「これからは、閲覧収入に頼っている士協会は、財政運営がたいへんだ。」
 たまたま送られてきた決算総会資料で岐阜会の閲覧収入を見ると、
・H14実績 @19,000×328人 6,228千円
・H15実績 @19,000×260人 4,940千円
・H16実績 @18,000×280人 5,040千円
・H17見込 @22,000×160人 3,520千円
 H14対比で閲覧者数が50%弱になった訳です。説明は不要ですね。
 さて近く公表される2006年地価公示は二極分化状態を通り越して、今や一将功成って万骨枯れる状態にある。特に下落が止まらずシャッター街化が進む地方都市商店街の再生が様々な観点から希求される状況にあるが、特効薬が見あたらない。
 お寒い話題などは程々にして、ど根性大根に習って、歩道のブロックの隙間で健気に咲く蒲公英(タンポポ)の花に拍手しましょう。でもタンポポはなんで蒲公英と書くのでしょうかね。英語ではダンデライオンというのだそうで、これまた可憐な花に似合わない名前ですね。


陸橋から、こんな景色を眺めていると何もかも忘れるのです。ダブルクロスが続く線路は何処へ向かうのやら。

今年の花灯籠は寒かったが、知恩院山門のライトアップは美しかった。

 末筆ながら(こういう場合は末タイピングと云うべきか)、王ジャパンおめでとう。ツキに恵まれたと云えるけど、ツキを呼び込むのも実力の内。第一、何処かで後一点取られていたら失点率僅差での準決勝進出は無かった。

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