両三度の寅さん

 しばらく前に今は亡き渥美清さんの「男はつらいよ」について記事にした。昨年の8月頃から今年の1月にかけて「男はつらいよ」全48作の内、24作がNHKBS2で放映された。それを毎度々々かかさず録画してDVD保存し、友人にもコピーを差し上げていた。後半の24作は今年の8/5から来年の1/27にかけて放映の予定である。遺作となった「第48作:マドンナ浅丘ルリ子・寅次郎紅の花」の放映予定日は来春1月27日である。 放映休止期間中4月に、前半24作の内、リクエスト上位五作が再放映されていた。以下の五作である。
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第五位 第19作 男はつらいよ:寅次郎と殿様(1977年)
 真野響子、嵐寛寿郎、三木のり平なのである。殿様(嵐寛)と執事(のり平)と寅のカラミが楽しいのである。懐かしの鞍馬天狗でもある。
第四位 第22作 男はつらいよ:噂の寅次郎(1978年)
 大原麗子なのである。
第三位 第15作 男はつらいよ:寅次郎相合い傘(1975年)
 遂に寅さんの永遠のマドンナとなった、浅丘ルリ子なのである。
第二位 第17作 男はつらいよ:寅次郎夕焼け小焼け(1976年)
 今は亡き太地喜和子と宇野重吉なのである。
競演する寺尾聡、岡田嘉子も楽しい。
第一位 第一作 男はつらいよ:(サブタイトル無し)(1969年)
 初代マドンナで御前様の娘・光本幸子、博の父親・志村 喬なのである。
一連の再放送を見た後で、第一作のDVDをもう一度観た。改めて見落としたところや聞き逃した個所を再認識したのである。
 この第一作の後半に寅次郎の最初の恋と失恋が語られる。その物語の背景に流れるテーマミュージックが【喧嘩辰:北島三郎・1964】である。
  殺したいほど 惚れてはいたが
    指も触れずに 別れたぜ
      浪花節だと 笑っておくれ
        野暮な情けに生きるより
          俺は仁義に生きてゆく
 寅さんの唄い踊る映像も楽しく、すぐ後の悲恋を予感させてもの哀しくもある。なにより、光本幸子さんのハミングが楽しいし、源公の少し嫌味なハミングは笑わせる。
「喧嘩辰」を唄う光本幸子と寅さんの部分サントラ・ファイルは以下のアドレスからダウンロードできます。
http://www.morishima.com/cgi-bin/np_shikan/newspaper.cgi?action=view&code=1145386389
 当たり前のことではあるが、出演者は皆若い。渥美さんも倍賞さんも前田吟さんも、御前様・笠智衆様も若いのである。寅さんの演技もギラギラと生々しいし、倍賞さんはキラキラしている。



「上記サントラのシナリオ」

※夜の帝釈天参道
冬子が「喧嘩辰」をハミングする。
冬子「こぉ〜〜ろおしィ、たあいほぉーどぉー …ほぉーれては…」
寅「しーっ!しー」
冬子「いいじゃないの歌ったって、
 『口笛は幼きころのわが友よ
 吹きたくなれば吹いて遊びき、』
※題経寺山門
寅「お嬢さん、みんな寝ているんですよ、ねっ!ね!」
冬子「じゃあ寅ちゃん、あたしたちも休みましょうか」
寅「そうですね」
冬子「んじゃあ、寅ちゃん、」
寅「へい」
冬子「さよなら」
寅「これ」とハンドバックを渡す。
冬子「あ〜、どうも、フフフ、」
冬子、戸から手を出す。 手をそっと握る寅。
冬子「お休みなさい」
冬子「さようならー」
寅「……」
冬子「ゆぅーびィもお〜触れずにィー…
  わァかれたぁぜぇ〜」
 冬子を遠く見送る寅、至福の境地に感極まる寅さん。
 誰もいない深夜の参道を踊りながら唄いながら 帰りゆく寅さん

 こぉーろぉーしィ〜たいほぉどぉー
    惚れてはいたがァ…とくりゃあ!
 ゆゥびィもォ〜触れずにィー … わかあれたぜぇ〜
 浪花節だと 笑っておくれ、 野暮な情けに生きるより
 俺は仁義に 生きて—ゆーくー。
 【犬の鳴き声が悲恋の予感にもの悲しく聞こえる。】

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