昨日友人に尋ねられました。「明日の記憶は誰と観たの?」、多分Myブログを見たから故の問い掛けでしょう。「独りよ」と答えましたら、「よく、独りで行けたなあ、僕は怖くて行けない。かみさんも嫌がって同伴してくれない。!!」と云うのです。
彼の云うのも、もっともだと思います。茫猿も、「明日の記憶」が目当てでシネコンに向かったのではなくて、最近オープンした複合商業施設を視察にゆき暑さしのぎのついでに映画を見たのです。ダヴィンチコードはもう見ていましたし、取り敢えず待ち時間の少ないのを選んだというのが本当のところです。
予告編や映画評を見てからだったら行ったかどうか怪しいものでしょう。でも今思い返してみて渡辺謙の少しクサイというか大上段の演技が逆にあれで良かったのだ、寺尾聡の演技では見てる方がよけいに落ち込んだろうなと思い返します。
先号にも書きましたが、このCASTの連鎖は因縁めいて面白いです。どうってことのない個人的感傷と云えばまさにそのものなのですが。
「明日の記憶」:渡辺謙、樋口可南子、大滝秀治
「阿弥陀堂だより」:樋口可南子、寺尾聡、吉岡秀隆、田村高広、香川京子
「博士の愛した数式」:寺尾聡、吉岡秀隆、浅丘ルリ子、深津絵里
「寅さん」浅丘ルリ子、吉岡秀隆、香川京子、大滝秀治、寺尾聡、宇野重吉、渥美清
全部寅さんにつながると云うのは強引でしょうが、なぜかとても落ち着く連鎖と思うのは茫猿の齢の所為でしょう。記憶はまだ鮮明とは云えないにしても十分に残しているし、泣くに足りる程度の涙と心の襞もあります。
いつか、ドライ・アイ症状になり、心のヒダは薄っぺらくなり、思い起こす記憶はまだらに霞の向こうとなってゆく。西に沈む夕陽も無感動に、いいえ気にさえ留らなくなっている。
やがて必ず来る「生病老死・愛別離苦」を思えば、美しい夕映えを肴に一献などと思える今一刻がいとおしいのです。
もう一つ思い出した。寺尾聡とアルツハイマーというテーマは「半落ち」にもつながるのだ。ただし、「半落ち」はアルツハイマー病の妻を殺害するところらから物語が始まるのであり、アルツハイマー病という物語背景以外の共通項はない。
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