地価公示とネットワーク構築

 資料閲覧サービス以外にネットワークが何の役に立つのか、まして地価公示業務の役に立つのであろうかという疑問をよく伺います。業務連絡ならばE-Maillで十分だし、ファイルの送受信ならば添付ファイルを暗号化すれば理論上の安全値はSSL-VPNに匹敵するのであろうと云われます。


 暗号化ファイルの理論上の安全値について、茫猿は不案内です。でもE-Maillや添付ファイルの安全管理上の怖さは誤操作です。SSL-VPN(Secure Socket Layer Virtual Private Network 暗号化されたネットワーク)にも誤操作はつきまといますが、ネットワークに入ってからの誤操作であれば発生する危険は随分と小さく抑えられます。
 つまり、ネットワークを利用することによりデータ送受信時における安全性が高められる。また必要の都度サーバからダウンロードしたり閲覧したりできることから、不必要なファイルや書類を自事務所のパソコンや書類棚に保管しなくて済むようになる安全性強化への寄与も大きいのである。
 他にも郵送された紙資料やファクシミリ送信されたアナログ資料は再利用に際しての効用も効率も低いのである。それに対してネットワーク経由で受信したデジタル資料は書き込み補修正、再計算等々再利用の際における効用も効率も断然高いのである。
 このことは、地価公示業務に於ける以下の経費削減効果を示してくれるのである。H19公示業務開始に際して、評価員に送付された資料やCDには次の物がある。
1.選定・点検支援システム:[CD]
2.選定・点検支援システムマニュアル[冊子・約200P]
3.地価公示システムセットアップマニュアル[冊子・約50P]
4.地価公示システム障害対応マニュアル[冊子・約40P]
5.地価公示用USBメモリー・(暗号化ツール)
他にも、業務仕様書や収益価格マニュアルなどの各種冊子資料が作成配布される。 これら配付資料の全部とは云わないが、相当部分はオンライン配布が可能である。 CDやUSBメモリーは全廃が可能であり、冊子の類はPDF化資料としてサーバ配付すればよいのであり、評価員は必要に応じて閲覧し印刷すればよいのである。(詳細は不明だが決算書によれば、H17中央地価調査事業会計の印刷製本費は16,700千円)
 今どき、分厚いマニュアルを配るソフトハウスやベンダーは時代遅れであり、カラフルでビジュアルなオンラインマニュアルでなければ見向きもされないのである。第一紙資源の無駄遣いなのである。
 さらに、これら各種資料のデジタル配付は別の効果も発揮するのである。つまり、デジタル化すれば、写真利用、図表利用、カラー化が可能であり、よりビジュアルな資料が作成できるのである。点検選定替地価公示標準地の写真をネットワークサーバに揃えることなども容易となる訳で、公示地点の経年変化や複合化要因資料を社会に提示することも容易となるのである。
 これも見過ごされがちであるが、幹事会などで交換される経過資料もネットワークサーバを経由することにより、より広域的かつ多量のデータ交換が可能でありより類似性の高い地域データの比較均衡検証も可能となる。
 士協会ネットワーク構築が地価公示のICT化に及ぼす影響は、(1)業務安全性の向上、(2)業務効率の向上、(3)冊子印刷・CD作成経費の削減、(4)地価公示資料の広汎なビジュアル化等に及ぶものであり、ネットワーク構築効果は大変に大きいと云えるのである。

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