唐津の農民作家山下惣一氏が、今年の初めから「みなとん里(湊ん里)だより」という週一連載サイトを開いている。『鄙からの発信』主宰者としては共感するところが大なのである。
どのコラムも興味深いが、なかでもの記事を紹介する。
「ムラの範囲」
「農家の家 一族の拠点」
「食の基本は身土不二」
「割に合わぬコメ作り」
一番滲み入ってくる話である。「彼岸花は農が育てた花」
山下氏はこの話を、このように結んでいる。
私は、だから、「彼岸花は農が育てた花だ」といっている。
農業のカネにならない部分が「農」、経済行為が「業」である。私の経験からいえば、農業の9割は直接カネにならない「農」の部分で、世間でいうところの経済行為は1割ぐらいしかない。ところが、じつは、農業のカネにならない「農」の部分が自然環境を守っているのである。もっといえば、美しい日本の風景をつくっているのは、農業のカネにならない仕事なのだ。人びとが自然だと思って眺めている景色はじつは「農」の風景にほかならない。田んぼや農道や川土手の草を刈ってもコメの収量や値段とは何の関係もない。つまり、タダ働きである。しかし、草を刈ってやると、彼岸花がにゅーっと現れて秋の野を彩るのである。——ねぇみてよ、棚田が育てた彼岸花——
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