年越しの辞

 今年も暮れゆきます。イジメ自殺、ホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)、教育基本法・防衛庁設置法改正などなど気鬱な事柄が多いのですが、イラクやパレスチナやソマリアの人々を想えば平和な年の暮れです。


 三年近く関与してきました新スキームや士協会ネットワーク構築問題は、 去る12/22開催の新スキーム小委にて、H19年度以降の新スキームの全国展開並びに本格施行を前にして鑑定協会の体制刷新が検討されました。
そのなかで第二WGは、年初早々に新設が予定されるICT委員会へ機能移管されることとなりました。茫猿の役割は終わり肩の荷を下ろしています。
 鑑定協会は新スキーム以外にも、投資不動産評価実務基準問題、鑑定報酬競争入札問題など課題山積の状況である。来年は二年に一度の役員改選期でもある。巷間噂されている役員候補者諸氏の胸の内やいかにと思うのであるが、あれもこれもは無理だから優先順位を明らかにして、一つ一つ課題を着実に処理して頂きたいものである。
 只今は、藤沢周平の遺作「漆の実のみのる国」を読んでおります。出羽米沢藩中興の名君と云われた上杉鷹山の「つきることなく果てしない改革を進める孤独な道」を描いた作品です。
次から次へと難問が山積するなかを、勇を鼓舞して改革に邁進する鷹山と近臣達、彼等の労苦をかえりみることなく旧弊や既得に安穏と固執する藩士の多きを想うとき、ふと鑑定協会の今を重ね合わせて読んでいます。
 この暮れは買ったまま中味の重さに積んだままになっている「いまここに在ることの恥・辺見庸(著)」をじっくりと読む予定です。
環境問題などを考える時に、茫猿は人間の存在そのものが「悪」なのではと想う時があります。今の日本という国の在り方を、時だ時節よと流され見過ごしてよいのであろうかと想います。そして、考えよ考え抜けよ、言えよ声を上げよと想います。「沈黙は金」という誤解されている俚諺に惑わされることなく、駄弁であろうと訥弁であろうと、言い続けるなかにこそ「未来と希望在り」と思うのです。
 常連の読者にはおなじみの風景であるが、茫猿の陋宅が今朝はこの冬最初の雪景色となった。憂き世のことはしばし忘れて墨絵閑寂の師走世界にひたろうと想うのである。

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