かねてから全国展開が課題となっていた新スキームについて、04〜06、三カ年の試験施行結果を踏まえて、2007年度よりは全国展開が決定したという記事が日経新聞01/09号に掲載された。
予算成立を待たねばならないが、概ね悉皆調査が実現する方向にあり、調査対象範囲や調査項目等の細部については各都道府県士協会の選択に委ねられる部分もあると仄聞している。
鑑定協会横須賀会長の年頭挨拶にもあるように、新スキーム全国展開と並行して士協会ネットワークシステム構築が事業目標第一に述べられている。士協会ネットワーク構築は新スキームデータの有効活用に資するモノであると同時に、地価公示のオンライン化及びペーパーレス化に必要なものである。 ようやくにして鑑定協会事業・優先順位第一位に上げられるようになったわけであり、総じて、07年は不動産鑑定業界ICT化元年と云える年となりそうである。
もう一つ見逃せないことがある。取引価格情報は情報開示項目が増やされる予定である。追加開示予定項目は最寄り駅までの時間、接面道路幅員等であり、これらの情報を有機的に分析することによって地価の時系列的並びに地理的推移のマクロ的検証が可能になると考えられる。
このような分析を第三者に委ねることなく、鑑定士が主導的に分析対象として調査研究を行い、その成果を社会に問うてゆくことがこれから最も重要になるであろうと予想する。なぜなら、この分析結果を地価公示に反映し、地価公示の結果を踏まえて取引価格情報のマクロ分析を検証することにより、両者の精度を高めてゆくことが益々求められるであろうと予想するからである。
また忘れてならないことに取引価格情報開示制度のカウンターパートとして「REINS Market Information」がある。類似する情報提供サービスであるから、消費者にとってどちらが有効な情報提供であるかが、今後常に問われることとなるであろう。地価公示の枠組みを通じて開示取引価格情報の調査にあたる不動産鑑定士としては是非とも心しておかねばならないことである。
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