不二家に学べるか

 不二家がマスコミを賑わせている。ことの落ち着く先はまだ見えないが、成り行き次第では雪印の二の舞も十分考えられる状況のようである。「賞味期限切れ、消費期限切れ」を無視したツケの大きさに戦いて(オノノイテ)いるであろう。また、内部告発とか情報漏洩のもたらすものの大きさも改めて感じていることであろう。


 スーパーの店頭から不二家商品が撤収され、iNet の世界とマスコミの世界が相乗的に事件を扱い騒擾的でさえあるわけで、まさに一犬虚空に吠え万犬それに倣う状況ともいえる。何も不二家を擁護しなければならない義理はないが、数年前の雪印事件を思い出すのである。
 そして当時、雪印に学べと主張したことを思い出すのである。情報が生命線であり情報加工で報酬を得ている世界に生きていながら、我々不動産鑑定士は狭義の情報についても広義の情報についても、その評価や取扱が万全かどうか疑問なのである。
 狼少年紛いと笑われても構わないから、今一度辛口に云っておこう。
『一旦、ことが起きてからでは遅いのであり、そうなってから横須賀会長が白髪頭をTVカメラの前で何度下げても、もう遅いのである。』
 一旦失った信用や信頼はもう取り返せないであろう。だから、鑑定協会のコンプライアンス姿勢とか、安全管理措置の徹底とかを、平時からいかに整えておくかが大事なのだと考えるのである。
 新スキームの全国展開が内定し、本年夏以降は全国で新スキーム情報を取り扱うことになる。関与する鑑定士数も取り扱う情報量も格段に増えるわけであり、漏洩リスクも大きくなると思われる。先進試行地区だって、ぼちぼち慣れが始まる頃である。関与者の増加と慣れの蔓延は、事故の母である。個人情報保護法【ガイドラインの改訂】を機会ある毎に提唱するのだが、反応はとても鈍い。毎年の客観状況の変化に応じてガイドラインは改訂してゆかねばならないし、何よりも【遵守状況についての評価】が重要なのであろうが、そのような動きは絶えて無い。
 云うまでもないが、茫猿は何も起きないことを念じている。今、懸念しているのは講ずべき十全の措置を、鑑定協会は措置済みかということである。茫猿の知る限りにおいては、決して万全とは思えない。だから懸念するのである。そして懸念が杞憂で終わることを念じているのである。
 もう一言云わせてもらえば、新スキームの拡大に合わせて士協会ネットワーク構築も日程に入りつつある。だがそこで士協会ネットワーク構築の目的が新スキームデータの有効活用とか、地価公示のオンライン化と云った功利的な面に偏ることを懸念する。ネットワーク導入の動機付けとして功利的な面を中心に提唱せざるを得ないが、安全なネットワーク構築は個人情報保護等情報漏洩に対処するものであり、コンプライアンスを強化するものであるという視点を忘れて欲しくないのである。コンプライアンスに係わる保険としてネットワーク構築が存在し、構築の結果が様々な功利的な効果を生じるというように考えてほしいのである。
 別の表現をすれば、資料収集の基盤が拡大し拡充することにばかり浮かれていないで、事故発生の危険率が増したのだと認識し、危機管理意識を高めてほしいのである。
 雪印事件に係わる旧記事を検索したら、3件あった。今も通用すると思われるので、いずれも旧『鄙からの発信』であるがリンク先を表示しておきます。
[1] ブランドイメージ  [DATE]2005/03/03
[2] 読者の疑問に応えて  [DATE]2004/12/01
[3] 雪印、三菱、そして  [DATE]2000/08/29

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