総会の季節

 茫猿が所属する岐阜県士協会から決算総会議案資料が送付されてきた。日本鑑定協会も来月に総会開催が予定されており、薫風の季節は総会の季節でもある。そこで徒然なるままに久しぶりにじっくりと総会資料を見ての感想を記す。


 先ず、決算書は一読などでは判り難いのである。士協会は社団法人であるから収益事業と公益事業を区分する必要があるのだろうが、特別会計があったり管理費を一般管理費と事業管理費に配分したりと理解し難い。特に社団化されてこのかたろくに役員など務めたことがないから財務書類を読み解くのに一苦労である。そこで、理解を深めるために古い資料などを読み返していたら面白いものを見つけた。
 今から4年前、2003/09に実施された士協会運営に関する会員アンケート結果である。岐阜会固有の問題もあるかもしれないが、いずれにしても「他山の石」ということもある。何かの参考になればと記事にする。アンケート結果取りまとめの全部は相当のボリュームであるから、一部のみを抜粋するのである。アンケートの回収率は80%弱であった。
Q1.士協会加入理由(複数回答)
・業務に必要な情報・データが得られる。(76%)
・地価に関する地域動向情報が得られる。(58%)
※要するに事例情報が手早く廉価に得られるからということであろうか。
Q2.最も注意する士協会メディアは何か(複数回答)
・ファクシミリ(71%)
・サイボウズ、WAN(イントラネット)(59%)
※意外に思える結果であるが、当時のWANはコールバック方式のISDNネットであり、現在の光・ADSLによるフレッツグループWANと比べればはるかに煩雑で遅かった。岐阜会がブローバンド化したのは04/08からである。
Q3.士協会事業の今後について
・現行のままでよい。(58%)
・事業規模を縮小すべきである。(36%)
※両回答を併せれば、94%が現状維持若しくは縮小を望んでいるのである。4年前でこれだから、現在ではさらに規模縮小派が増えているかもしれない。
Q4.士協会の公益事業について
・現行のままでよい。(58%)
・拡大すべきである。(24%)
※Q3は事業全体について問うているのであるが、Q4で公益事業のみについて問うた結果は現状維持派は同割合であるが、拡大派も少なくないことが希望である。
Q5.士協会運営への関与について
・次期役員に立候補する。(0%)
・次期役員に立候補しない。(83%)
※当然といえば当然であろう、小さな会のアンケートである、無記名でも筆跡で回答者がばれてしまう。立候補の意志有りなどと回答したら、即次期会長のお鉢が回ってくる。それにしても、以前(十年以上も前)ならば酒席などでいつかは会長に立候補して「こんなことや、あんなことをしてみたい。」とか、「いつかは会長になってみたい」などという話が少しはあったものだが、最近は絶えて無いようである。
Q6.役員の時間費消への費用弁償(年額5万円程度)
・賛成 (55%)
・反対 (45%)
※役員の物心両面の負担に対して心配りをするのは佳いことであるが、日当的なものを支給するのは如何かと思われる。交通費を支給するの当然として、なまじっかの金額を支弁することが後々の災いの種になりそうな気もする。この件は現在に至るも実施されていないようである。
Q7.会費の額について
・引き下げるべきである。(23%)
・ある程度の余裕を持つべきで現行でよい。(69%)
※現行の会費額は年額10万円である。現行会費容認派が多数であるが、実はこのほかに事例資料オンライン検索システム利用料として175千円負担しているから、年額の負担額(業登録をする鑑定士会員)は275千円である。さしたる事業実績の無い会員にとってこの金額は決して軽いものとは云えないのであり、データファイル利用実績の多寡にかかわらず一律負担という現状が好ましいか否かは議論が分かれるところと考える。その意味で、資料整備費等の負担について「事業実績に比例配分すべし」と回答する会員が三割強も存在することは注目される。
アンケートの末尾にコメント記載欄があって、そこに興味あるコメントが幾つかある。
『コメント-1』
 3年前から士協会を誰も信用していない、その程度の認識から出発すべきだ。岐阜県人は決して表立って本当のことを言わないから要注意だ。云いたいことは一杯あるが、小生も忙しくて役職どころの話ではないので、お鉢が回ってきても困るからこの程度で・・・・。
【茫猿曰く:どうも、このお方自身が要注意の岐阜県人みたいだ。無記名アンケートで好きなことを言っておいて、忙しいから役員は引き受けたくないとは、いわば遣らずボッタクリではないか。】
『コメント-2』
 武士は食わねど高楊枝というのは、その精神のみを取り上げているにすぎず、仕事に見合った報酬が安定的に得られるような仕組みが出来てこそ、鑑定業界の明るい展望ができると思います。
『コメント-3』
 新参者であり、経験が乏しく理解不足故、今の段階で答えに窮する質問に対しては保留とさせていただきました。いずれにせよ、業界自体の生き残りを最優先に考え顧客満足度の向上を促進させるべく組織改革をすすめていくべきものと思います。
【茫猿曰く:新参者と断られているが見事な回答である。コメント者は既に業界の生き残りを視野に入れておられる。】
『コメント-4』
 小さな士協会となるべきである。公益事業に特化すべきである。護送船団方式はやめるべきである。鑑定評価の質を低下させている。会員の意見が公平に反映される運営をお願いしたい。特定の会員の意見に振り回されており、現執行部の自主性は殆ど感じられない。
【茫猿曰く:公益事業特化もよいが事例資料関連事業をどうするつもりなのだろうか。それに特定会員とは誰を指すのか判らないが、そう思えるのであれば機会ある毎に糺してゆくべきであろう。それが責任ある士(サムライ)というものではなかろうか。まさかとは思うが、特定会員とは茫猿のことであろうか?しらぬは本人のみという話は世間にざらにある。でも執行部を振り回した覚えはサラサラないのだが。】 

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