ついに出ました。吉川孝昭作「男はつらいよ全作品覚え書ノート」の第48作である、最終作「寅次郎紅の花」がアップされました。寅さんものサイトは数々あるが、覚え書ノートはそのなかでもベスト3に入るサイトである。茫猿はベストワンだと思っている。今回第48作前編は力作である。寅さんとリリーさんの網走での最初の出会(73年)から回想してくれている。ゴタクは不要、一見に如かずなのである。
寅さんサイトで「覚え書ノート」に匹敵するのが「さすらいの月虎:男はつらいよ」であるが、月虎が紹介する「寅さんリンク集」もある。
寅さんとリリー(浅丘ルリ子)さんの出演全四作を論じるエントリーである。
第11作 1973年(昭和48年) 寅次郎忘れな草
「覚書ノート版」 「さすらいの月虎版」
夜汽車のなかで涙ぐむリリーも、網走で出会う寅とリリーも、寿司屋の女将になるリリーも、博もさくらもおばちゃんもおいちゃんもタコ社長もみんな若いのである。当たり前だが最終作の22年前である。
リリー「私達みたいみたいな生活ってさ、普通の人とは違うのよね。それもいいほうに違うんじゃなくて、なんてのかな、あってもなくてもどうでもいいみたいな、つまりさ、アブクみたいなもんだね 」
寅「うん、アブクだよ…。それも上等なアブクじゃねえやな。風呂の中でこいた屁じゃないけども背中の方へ回ってパチン!だい」
第15作 1975年(昭和50年) 寅次郎相合い傘
「覚書ノート版」 「さすらいの月虎版」
深夜の柴又参道商店街を相合い傘で歩く寅とリリーのツーショットは名場面である。第一作で午前様のお嬢様(光本幸子)との深夜参道ツーショットもよかったが、こちらの方が深みを感じるのは二人の大人付き合いのせいだろうか。
リリー「迎えにきてくれたの?」
寅「バカヤロウー、散歩だよ」
リリー「雨の中傘さして散歩してんの?」
寅「悪いかい」
リリー「ぬれるじゃない」
寅「ぬれて悪いかよ」
リリー「風邪ひくじゃない?」
寅「風邪ひいて悪いかい」
リリー「だって寅さんが風邪ひいて 寝込んだら、私つまんないもん」
第25作 1980年(昭和55年) 寅次郎ハイビスカスの花
「覚書ノート版」 「さすらいの月虎版」
シリーズ屈指の名作である。嫌いな飛行機に乗り沖縄に飛んでリリーさんの看病をする寅さん。ラスト、草津温泉付近の峠道、乗り合いバスを待つ寅さんをみかけたリリーとの会話が秀逸なのである。
寅「どこかでお目にかかった お顔ですが、 姐さん、どこのどなたです?」
リリー「以前お兄さんにお世話に なったことのある女ですよ」
寅「はて? こんないい女を お世話した憶えは…ございませんが」
リリー「ございませんか、この薄情者!」
第48作 1995年(平成7年) 寅次郎紅の花
「覚書ノート版」 「さすらいの月虎版」
加計呂麻島でリリーさんのタンカがとても小気味良いのである。
「悪いよ、バカにしか見えないよそんなのは。自分じゃカッコいいつもりだろうけど、要するに卑怯なの、気が小さいの、体裁ばかり考えているエゴイストで、口ほどにも無い臆病者で、つっころばして、ぐにゃちんで、とんちきちんのおたんこなすだってんだよー!」
寅さんが柴又でリリーに言う台詞も格好良い。
「男が女を送るって場合にはな。その女の玄関まで送るってことよ」
寅さん巡りのあいだに凄いサイトを見つけました。
早くこの世界にひたりたいと、憧れます。
『風に吹かれて』 そのなかに「寅さんが歩いた風景」
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