日米の原爆意識

 久間防衛大臣の「原爆しょうがない」発言の衝撃も醒めない内に、当の米国から、しょうがないどころか正真正銘の正当化発言が報じられてきた。


・米特使、「原爆使用が何百万人もの日本人の命救った

 ロバート・ジョセフ米核不拡散問題特使は3日、ワシントンでの米露の核軍縮に関する記者会見で、原爆を使用した米国の核不拡散に対する道義的な正当性を問われたことについて、「原爆の使用が戦争の終結をもたらし、連合国だけでなく、文字通り日本人も含めた多くの命を救ったということに関しては、歴史家の意見が一致していることだ」と語った。

 日本政府は、安倍総理は、小池新防衛大臣は、久間前防衛大臣はどう応えてゆくのであろうか。それは米国の一高官の個人的見解ですとかわすのであろうか、米国の見解は米国の見解と逃げるのであろうか。
安倍総理の発言

ジョセフ特使の発言を受け、安倍総理はこう述べたという。
 広島と長崎でおよそ21万人もの死者を出し、いまだに後遺症に悩まされる多くの被爆者を生み出した原爆を許すことはできない。
「原爆は決して許されるものではないという気持ちに変わりはない」とも語った。

小池新防衛相が就任会見

 小池新防衛相は記者会見で米国による原爆投下については「人道的に認められないのは明らか」と指摘。久間章生前防衛相の「しょうがない」発言については「日本が核廃絶の旗振りをする上で、『しょうがない』と言ってしまったら、そこで終わってしまうのではないか」と述べた。

 一連の事件の問題点というか基点は「いかなる理由があろうとも原爆使用を正当化しない。」というところにある。この論旨は「暴力を正当化しない。」ところから始まり、「戦争を正当化しない。」とつながり、「核爆弾の保有・使用を正当化しない」とつながるのである。
 すなわち久間発言は「正義の戦争」とか、「自存自衛のための戦争」といった論理と根底を同じくするのである。そして米国のジョセフ核軍縮担当米国特使の原爆使用正当化発言につながるのである。これを認めるということは戦後日本の否定と同じことなのである。
 この問題に関して、元駐レバノン大使の天木直人氏が実に筋の通った論旨を展開しておられる。一度お読みになることをお薦めする。
ジョセフ核軍縮担当米国特使の発言と日本政府の対応の甘さ

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