CGMとかWeb2.0

匿名氏からこんな投稿を頂きました。
『鄙からの発信』冥利に尽きます。


「webオープンシステムによる事例入出力システムが構築されたとすれば、どのようなことが起こりえるか。」
  #CSVで一括ダウンロード可能。決して流行だけでなく、専門家の基礎資料収集を根本的に変える可能性があります。
「そしてこのシステムを一定の条件で公開すれば、次には何が起こりえるか。」
 #究極的には、シロウトでも専門家の領域に「ある程度」近づけるということです。
 #CGMとかweb2.0とかが志向するのは、つまりそういうことです。
 #さあ、そこで専門家は何を求められるか、日本のセンセイ方はどの程度
 #ご賢察されているのでしょうねww
「WEB、GIS、不動産データで起こり得るロングテール・ニュービジネス」
 #コンシューマ向けであれば、そのニーズを考えれば明白です。
「自分の購入する/借りる物件が、妥当なValueを持っているかどうか」
 妥当なValueとは
・同一条件(駅距離、専有面積、周囲の公共施設、治安、通勤時間などなど)の物件と比較して割高か、割安か?
・土地の将来性が、自分のLife timeにマッチするか?(近隣学区の学校評判、治安や商店街の盛衰、新線計画などと居住予定年数)
・割引現在価値、予想騰落率は同価格の他エリア、他物件とくらべて妥当か(購入の場合)
この3つで決まります。どうパラメータにするかはさておき、公示(だけでなく取引事例あればなお可)と公開情報(警察や報道情報)で、パラメータそのものはあるていど自動的に作れます。購入予定の不動産情報を入力すると
・ランク:A
・同じランクのエリア:××駅周辺
・同じ希望条件を満たす物件:××駅(△件)
こんなのが出てきたら、素敵ですな。不動産レーティングにとって耳寄りな話は、他の財と違って「人によってパラメータのウェイトはばらばら」ということです。短期賃貸なら資本効率は無視していいし、子供がいないなら治安と学区より交通の便を取る。なので、誰にとっても明確な序列ができないため、エリアに格差をつける話には直結しないのです。世田谷区が誰もにとってwelcomeでないように、足立区だって魅力を感じる人はいるでしょう。
こういう財こそ、公開情報とCGMによるレーティングにはぴったりです。
でまあ、なぜYahoo!なりhome’sなりがやらないかといえば。
1:客観指標をつけると、クライアントからクレームがつく
(不動産屋は日本で一番羊頭狗肉な人種の一人です)
2:同様に、広告ビジネスも成立しにくい
(大京のバナーの下に「江戸川区治安:E」なんてテキストのっけられません)
3:不動産業者も同様
(家主売主からクレームがつくだけ、消費者には知らしむべからず)
4:鑑定士は立場微妙
(仮にも国家資格をもつ立場で、不動産のランキングをするなんてリスク高すぎ)
 じゃあ誰がやるの?という答えは、まさに「CGM」でやるべきであり、サヨク用語がお好きな方には「市民発信型メディア」なんてのが実施するべきなんでしょうね。
情報加工のコストが逓減しつつある今、実はいちばん世の中に役立つメディアを作るインセンティブがあり、足かせがないのは専門家ではない、という皮肉です。
専門家にとって必要なのは、「一次情報を安易に加工できるかたちで提供する」ことであり、自分たちの味つけでメディアを作ることではないのかもしれません。その点を履き違える専門家集団は、長期的に見て没落していくでしょう。
公示でいうなら、日経新聞にしたり顔でコメントを寄稿したりするひまがあれば、さっさとXMLでデータ公開しなさい、ということです。
Yahoo!やGoogleがデータ公開に積極的なのは、もちろんビジネスチャンス(覇権獲得)もあるからですが、決してそれだけではありません。こういう性善説的、かつ長期ビジョンにもとづく思いは、多かれ少なかれ動機のひとつなのです。
 #それを日経新聞が「ネットの覇権」などと旧態依然な捉え方しかしないせいで
 #世間にはネット企業への誤解だけがひろまるんですよとほほ。
 #情報独占でメシを食ってる自分たちと同じにするな、と。
以上、ご参考まで。
ちなみにいうと、じゃあ専門家はどこで儲けるの?という話が。
Yahoo!のサイトはタダで使えるけど、広告や検索連動でお金もらってますよね。
リサーチ会社はクライアントから調査費もらい、結果を公開しますよね。
不動産鑑定業界なら、REITかデベロッパーに対してマネタイズできる、現状以上の商品を作り、逆にコンシューマー向けにはタダで簡易鑑定システムを公開するくらいの気概が欲しいところですね。
そうすると一般ユーザからの類推事例やトレンド情報は吸い上げられるわ、それを加工してプロ向けに高く売れるわ、ブランド力は(Yahoo!やGoogleがタダ戦略を進めたように)つくわ、と。
 #もちろんここまで単純化できると思っているわけではありませんが、
 #趣旨はご理解いただけるかと。

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