ワーキングプアⅢ

 見逃したNHK番組がある。12/16にNHKで放送された『ワーキングプアⅢ』である。昨日、T.M氏と話していて話題になったのであるが、残念ながら茫猿は見逃していた。そこでネット検索したら幾つかの紹介記事に出会った。


 そこに知らされる内容は、「希望は戦争」が現にワーキングプア状態にある人達だけのことでなく、まだ余裕がある者にとっても今やいつ何時ワーキングプアや生活保護者に陥るかもしれない現実を教えてくれる。自分が生活を支えられている鑑定業界の現状や、身の回りの少なくない人達のおかれている状態を見ていても、人ごとではないと教えられるのである。混合医療がもたらす国民皆保険の空洞化、雇用の規制緩和・流動化がもたらす安定雇用社会の喪失などを教えてくれる。
 新宿や、池袋や、新橋の街角で、人混みに混じってチラシやテイッシュを配ったり、拾い集めた週刊誌を路上で売っている人達の仲間に、いつ置かれるか誰も判らないし、携帯電話を通じて日雇い派遣される状況に陥ることが、誰もがあり得るという時代の入り口に我々はいるのだということ。そして、一旦、その状態に置かれたら、都会の孤独のなかでの再チャレンジはとても難しいと云うこと。今は正規雇用の日だまり枠組みのなかに居る者こそが考えなければならないのである。
 ぜひ、一度目をとおしてみて下さい。そして我が身もよそ事ではないのだと想像力を働かせて下さい。

・世に倦む日々:「ワーキングプアⅢ

・紙屋研究所:NHKスペシャル「ワーキングプアIII 解決への道」の感想

 

 紙屋研究所はこのようにコメントする。
 ワーキングプアにたいする「対策」は必ずしも国家や自治体や企業だけの仕事ではなく(もちろんそれが根本であるが)、社会的排除を防止するという視点に立てば、ぼくらが彼らと関係をむすぶ——それはボランティアでつながってもいいし、もっと身近な友人関係であってもいいだろう——ことによってできるかもしれないのである。 個々の対策や方策はさまざまある。 しかし、この「社会的排除の問題」という大事な視点を提起したことこそこの「III」の大きな意義だったにちがいない。

 単純規制緩和論者、新自由主義者、新資本主義者、グローバリズム信奉者たちの言うことに惑わされてはいけないのである。いいえ、彼等の得意な「自己責任論」に騙されるお人好しであってはならないのである。今は安定した高額共済年金(公務員年金)や厚生年金・企業年金に支えられて豊かな老後を送っている人達だって、ある日気付いたら、混合医療という差別化医療環境におかれるかもしれないのである。第一、若者達が安定した正規雇用状態にいなければ、高齢者が受け取る年金原資そのものが危うくなるのであるし、スタグフレーション状況下にさらされるだろうし、不安定化した社会は高齢者にとってとても辛い環境となる。
 そんな状況は想像し難くとも、何よりも、あなた自身の年金に、ワーキングプア化した子供や孫がぶら下がる状況ならば想像できるだろう。「希望は戦争」は身近な問題なのである。

※ワーキングプアⅢ ~解決への道~ 再放送予定
 2008年1月6日(日) 午前10時~ BS2 ※「あなたのアンコール・サンデー」内

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