岐阜県士協会でも08年当初よりREA-NET試行が開始された。年末の地価公示分科会において、代表幹事は公示関連ファイルのFD提出を08公示より止めにして、REA-NETによって鑑定協会へ送信して頂く予定と説明された。
公示ファイルのREA-NET送信の実施真偽は未ださだかではないけれど、年始早々に試行設定を行ってみたところ、茫猿が構築に係わっていた06年段階のモデルと較べれば格段の使い勝手向上である。まさに三日見ぬ間の桜かなであり、三日見ざれば刮目して見るべしである。 完成度は今や七分咲から八分咲に近い。難を言えば細部から大部までキリがないが、最終的に全国六千名の会員や会員外公示評価員の利用も前提にすれば、多少の不自由さは我慢されるべきなのであろう。
プロトタイプ構築法により、ここまで完成度を高めて頂いた「鑑定協会:情報安全活用委員会(委員長・澁井和夫氏)」並びにサポート頂いた「イッツ・ソリューションズ株式会社」の並々ならぬであろう御尽力に深甚の謝意を表するものである。
特に、ITS-solutionsのM.T氏には深い感謝と敬意を申し上げるのである。
ざっとテスト利用してみたところでは、ファイル送信確認機能やメール受信表示はどのように表されるか不明であるが(発信者を重複して受信者登録ができないことから、受信形態が確認できない。)、必要十分条件を満たしていると認められる。
試験施行未了の全国士協会においても、早速にテストランを実施するべきであろう。何よりも経費は廉価であり、操作は簡易なのである。廉価と云っても無料ではないがコストパフォーマンスは保証できるのである。 特にブロードバンドiNet接続会員であれば、新規の個人コスト負担は全く必要とされないのである。(ISDN接続などでの利用も可能だが、ファイル受送信に時間を要するであろう。)
また、操作は簡易と言っても初期設定などは携帯電話よりは複雑であるが、個人情報保護、情報守秘義務や漏洩防止といった観点からは、若干の煩雑さは受容しなければならないであろう。
公表されていない幾つかの機能もある。全国の会員宛にREA-NETメール発信機能が可能である。 多分、鑑定協会事務局からの一斉発信に利用されるのであろうが、一般会員からの発信も可能なのである。この機能はフラットな情報受発信を実現するものであり、大いに歓迎したいところである。
ただし、選挙の時期にどのように利用されるかが若干懸念されるところでもある。しかし、この辺りは会員の鑑定士としての良識発露に委ねたいものである。とはいっても、会員のネチケットマナーの現状やiNet感覚の現状を考えれば、いたずらに楽観視できないところでもある。不見識な選挙情報発信に際して、当該メールや掲示がお祭り状態になるのを見てみたいというイタズラ心もある。
(この件の詳細について追記する。 REA-DATAでは情報発信が可能であるが、フォローコメントは付けられない。REA-INFOでは、フォローコメントを付けることができ、電子会議室機能を持つが、スレッドを建てるのは士協会事務局または鑑定協会事務局に限定されている。
電子会議室に会員が自由にスレッド(議題、問題提起)を建てられないという制約は大都市圏域会を考えればやむを得ないだろう。士協会サイト掲示板が2ちゃんねる化しても困るだろうから。不自由でも、一端は士協会事務局を経由してのスレッド建ては容認せざるを得ないだろう。)
何はともあれ、習うより慣れろである。特に試行段階であればこそ、様々な改訂要望が聞き届けられ易いと考える。全会員が利用するようになり、一旦、固定化すれば、「今のままでよい、無用の改訂は望まない。」という類の意見が多数を占めるであろうことは、過去を振り返っても十分予想されることである。
最後に、新スキーム事例調査の負担を、耐え難いとお考えの公示評価員諸氏に申し上げたい。REA-NET・JIREI(新スキーム確定データ閲覧機能)は必見である。毎月次毎に確定送信される新スキームデータを確定とほぼ同時に閲覧が可能になるのである。会員の汗と智慧の結晶であるこのデータを、有効にかつ幅広く活用しない手はないのである。
多少、扇動的にいえば、「REA-NET導入に反対される会員は、周りの同輩会員の情報入手や利便性を阻害するものとして糾弾されても致し方ないのである。
【ご注意】
REA-NET・JIREIにおける「三次情報:新スキーム確定データ」と「五次情報:公示調査作成事例データ」をどのように利用するか、「閲覧利用者の範囲」、「無料か有料か」、「閲覧データの範囲、掲載期間設定」などは各士協会の自治に委ねられているのである。一部に「地方のデータが都会に流出する」と云った類の反対論を表明される論者が存在するけれど、偏見に基づく全くの誤解であり、士協会所属会員の知的財産管理は各士協会の自治裁量に委ねられているのである。
それよりも、別エントリーで既に述べたように、これら大量のデータを如何に活用し分析し、社会貢献を果たしてゆくかという点にこそ、新スキーム調査にご協力頂いた全国の取引当事者にお応えしてゆくべき「我々不動産鑑定士の喫緊の責務であろう。」と云えるのである。
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