今国会の焦点になっている暫定税率論議はよく判らないことが多いが、この点について白川勝彦氏が自身のBlog:永田町徒然草で明解な解説をしている。
マスコミは焦点の定まらない解説をしているし、TVに出てくる識者擬きや国会議員タレント達も国民を欺むいたり煙に巻くための議論をしているとしか思えないくらいである。 なかでも福田首相や自民党伊吹幹事長の「暫定税率廃止は、地球温暖化に逆行する。」という主張は噴飯ものだ。 つい、先頃まで120円/Lだったのが、今や160円が見え始めているのである。120円の頃は温暖化対策に逆行していたと云うのだろうか、詭弁を通り越して三百代言にもならない。何よりも市民感情を逆なでしている。
要するに国は(国とか国家でなく、霞ヶ関官僚と自民党と公明党は)、道路財源という予算配分権益を手放したくないだけである。次の白川勝彦氏の解説「ガソリンのように燃えるぞ」を、読めばこのことがよく判る。
ガソリン税の暫定税率を維持することは、地方には絶対に必要だという人たちに申し上げたい。もう一度ガソリン税というものを勉強してほしい。ガソリン税という税金はない。ガソリン税というのは、ガソリンに課税される揮発油税と地方道路税を合わせた税の通称である。揮発油税は国税として全額が国土交通省に入る。地方道路税も国税だが、全額が譲与税として地方に譲与される。地方はまだまだ道路整備が必要だというのならば、この地方道路税の比率を多くすることである。ガソリン税の暫定税率を廃止しても、地方の道路財源は十分に確保できるし、かえってヒモ付きでないでない道路財源を手にすることができる。
ガソリン税の税額は 暫定税率でガソリン1リットルあたり53.8円――その内訳は揮発油税48.6円、地方道路税5.2円である。暫定税率をやめて本則税率に戻すとガソリン1リットルあたり28.7円――その内訳は揮発油税24.3円、地方道路税4.4円である。暫定税率をやめて本則税率に戻すといちばん財源が減るのが国土交通省なのである。道路官僚が地方自治体の首長や議員に根回しをして、暫定税率廃止反対と叫ばせる理由が分かるであろう。以上をまとめると暫定税率をやめて本則税率に戻すと同時に揮発油税と地方道路税との比率を変えればそれでよいのである。
お判りだろうか、茫猿も慌ててiNetで様々に調べてみた。今日の中日新聞二面囲み解説にも小さくそのように載っていた。つまりガソリン税を25円下げるということは、揮発油税を24.3円下げ、地方道路税を0.8円下げると云うことである。だからガソリン高騰で皆が困っているし経済実態に悪影響を与えているこの際は、先ず本則課税に戻し景気回復に寄与させてから、揮発油税と地方道路税の課税比率を見直せばよいのである。
今は、20年以上も暫定々々と、延々と続いてきた暫定税率を廃止すべきなのである。国交省は財源配分権限が縮小するから困るだろうし、道路予算を獲得したと胸を反りくり帰らせる自民党国会議員も困るだろうが、ガソリン代に困っている市民は拍手するだろう。
地方知事や市長や議会は、年度末を控えて予算配分で首根っこを押さえられているから霞ヶ関に逆らえないだろうが、ソノマンマ知事なんかも霞ヶ関の台本通りにそのまんま喋っていないで、本当のところを話して欲しいものである。それとも事実を知らないのだろうか。
私たちは、賢い霞ヶ関のキャリア官僚に丸め込まれてはいけないのである。様々な名目の税を複雑につくり、特例措置やら暫定措置やらでさらに判り難くしている現状を一つでもすっきりと判り易くさせることが先なのであろうと思う。
お題目だけの地方分権は、結局の処、地方交付税を減額して、地方の福祉や教育を困窮させただけなのだと、我々は気付くべきである。必要なものを払わないと言っているのではない。第二東名のような不要不急道路に乏しい財源を廻すなと言っているだけである。
この点に関しては民主党も曖昧である。ガソリンに課税される揮発油税と地方道路税の比率を逆転させないまでも、半々にして、さらに暫定分を下げますと言えば判りやすいのだが、どうも説明というか、説得力に欠けるのである。
暫定税率で云えば、もう一つある。株式売買益課税率である。この数年軽減税率(こちらは金持ち優遇税制である)が適用されているが、株式景況に鑑みて暫定軽減税率を延長するという。にも関わらず株価は下がっている。今日の日経平均は2年3ヶ月ぶりに13千円を割り込んでいる。売買益課税率の問題ではないことが明らかである。古紙混入率や派遣労働違反やキッ兆やアカフク餅などの日本企業のコンプライアンスが世界から見放されているのではないだろうか。 それにつけても、こういった問題に斬馬刀一振、明解な解説をしてくれるマスコミが現れないのは何故だろうかと考えさせられる。
似たような観点から、最近に旗揚げされた「国民連合せんたく(洗濯と選択)も何やら胡散臭いのである。地方分権を向くのか、新自由主義を向くのかが、今のところでは、はっきりしないが、日本新党のような鵺にならなければよいのだけれど。
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