高山の春

久し振りに高山市に行ってきました。少しばかりの仕事と、しばらく前に事務所を移転されたK鑑定士への表敬をかねての高山紀行でした。春の祭りが終わったばかりの飛騨高山はさすがに北国、桜はまだ七分咲きくらいでした。


とは申しましても七分、八分なのは市内中心部だけであり、旧清見村などの郊外へ出ますと、まだまだ蕾ふくらむといった状況です。北国の春は、梅も桜も、レンギョウも、サンシュユも一斉に咲きます。それはとても華やかな春です。写真は市内中央を南から北(日本海)へ向かって流れる宮川・中橋付近の七分咲き程度の桜です。
祭りの時は、この赤い欄干の橋を絢爛豪華な祭り屋台が連なって渡ります。今日は、多くの観光客が小雨煙る中を桜にカメラを向けながら散歩していました。画面左側、桜の奥が旧い街並みで著名なかの伝統的建造物群の一之町です。赤い欄干の橋に芽吹く柳、そして桜という、とても結構な図柄です。

茫猿にとって高山行きの楽しみは「飛騨中華そば」をいただくことです。飛騨では当然のことながら日本蕎麦も有名ですが、地元の方は中華そばを好まれるようです。北国の寒さも影響するのかもしれません。また飛騨の衆は「ラーメン」とはあまり言いません。年配者ほど「中華そば」と言われます。
茫猿が好んでかよっているのは、高山グリーンホテル東側の「甚五郎」さんです。ホテルにチェックインしてから市内の居酒屋さんなどで食べ且つ呑んで宿に帰ると、直ぐそばに甚五郎さんがある訳で、雪の降る冬の夜などはこの中華そばをいただくためにグリーンホテルに宿を取るようなわけです。

極細の縮れ麺に鶏ガラと野菜からとった醤油味のアッサリ系スープがとても佳くマッチしているのです。豚骨白濁系スープの重さはありません。市内には多くの飛騨中華そば屋さんがあり、なかには鶏ガラスープと煮干し出汁をミックスされるお店もあります。高山にお出かけになったら、ぜひとも飛騨中華そばをご賞味下さい。
甚五郎さんで特筆されるのは、お店が若干妙齢過ぎの女性ばかりで運営されていることです。女性ばかりですから、飛騨地言葉とあわせて、とても雰囲気が柔らかで心が和みます。もう一つはチャーシューの厚さです。じっくり、やんわり煮込まれた焼き豚は殆ど1センチくらいの厚みです。都会のラーメン屋さんなら、優に三人前は取れそうな厚さです。それが二枚入っています。だから、初めての方はチャーシュー麺をたのまない方がよいでしょう。それよりも、チャーシューの切り出しを注文してビールを呑む方がよいのです。今日の茫猿は自家用車ですから涙をのんで、中華そばとサービスの白飯だけでしたけれど。
さて、表敬訪問したG不動産研究所様は、幸いなことにKT鑑定士はお留守でしたので、以前から昵懇のスタッフ、KNさんとKSさんお二人と、コーヒーをいただきながら四方山話に花を咲かせておりました。
ふと茫猿がKNさんに「ところで、お子さんはそろそろ小学校入学ですか?」とお尋ねしたところ、「いいえ、この春には三年生になりました。」というお答えです。 新卒でG不動研に入社された頃の初々しさをまだ面影にとどめているKNさんが、すっかりワーキングマザーになられているのには、とても驚きでした。
「そうですか、それじゃ私が歳をとるわけだ!」と申し上げたら、「いいえ私も年取りました。」とのお答えです。
実はKNさんが結婚後、出産され育児休暇を取られたときに、オーナーのKT氏は「KNさんがいないと我が事務所は立ちゆかない。困った。!」といわれ、当時まだ光回線はおろかADSLなどもないので、INS回線を彼女の自宅に開設してパソコンを設置し、データ入力や評価書原稿の入力などを続けられたと伺っています。さしずめ昨今流行のサテライトオフィスやリモートオフィスのハシリだったのです。歳月を経て、彼女も今や小学三年生の母親です。そう思って見直せば、頬を染めていた面影は十分に残っているものの、KT氏の事務所を支えている貫禄が端々に垣間見えるのです。まさに光陰矢の如しを味わった本日の茫猿でした。

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