秋茜の止揚学園

　この種の私信をサイトに開示するのはご批判もあろうと承知しますが、嬉しいお便りを頂きましたので、あえて公開します。

　掲載するのは、先日の学園訪問を記事に致しましたことについての礼状です。もう秋茜（赤とんぼ）が舞い始めている学園から、職員の方の手書きによる礼状を頂いたのです。

　学園にお邪魔して元気を頂き、お手紙を頂いてまた元気や勇気を頂ける幸せを感じております。　お手紙には福井先生は猛暑の中、四天王寺まで募金に出かけられたと書いてありました。既に高齢の域に達しておられる先生の体調が気懸かりです。なるべく近いうちにお見舞い方々、ご機嫌を伺いに訪れたいと思っています。
　福井先生からは別便で、学園訪問の礼状を頂きました。特徴のある先生の字でしたためられた手紙には、悲しく辛いことが書いてありました。

　入園している仲間が足の骨折で入院しています。彼は骨がとても弱くて、今度は持病の発作から骨折しました。夜は一時間半位毎にオシッコをします。病院の看護師さんではとても見られないとのことで、仲間の保母さんが交替で徹夜の看病をつづけています。疲れると思いますが、明るい笑顔をなくさずに看病してくれています。
　笑顔や忍耐は優しい心から生まれるんやなあ、そやから笑顔はすべてを活き活きと生かす力になるんやな、私も笑顔を失ったらあかんなあと、力を与えられている私です。　「福井先生のお手紙より抜粋引用」　

　入院している彼のことは、先日の訪問の折りにも皆さんからも伺いました。皆さんのお話しによれば、病院は完全看護が基本的な建前です。しかし彼のような重度の障害を持つ患者には「オムツ」をするのも病院の姿勢のようです。　当然のことですが、彼は「オムツ」を嫌がるのだそうです。学園を離れて入院するだけでも辛いだろうに、「オムツ」までされては彼の自尊心も傷つくでしょう。だから職員の方が交替で看護されているのです。
　ところが現在の法律や給付基準では、学園を離れて入院したその日から「公的な支給」は打ち切られるのだそうです。生活費も含めてそれらの全ては入院する病院へ支給されるのだそうです。支給する側からすれば、学園には居ないのだから支給する必要無しというのが見解だそうです。ですから、今行われているし、これからも当分続くであろう徹夜の付き添い看護は学園の負担で行われているのです。　　『付き添いは無用ですが、任意で付き添われることは認めます。』という病院のお話しも、あながち冷たい心根と言うわけにはゆかないのでしょう。　病院には病院の医療保険制度基準があるでしょうし、一人の患者のみ特別な待遇を与えることもできないのでしょう。
　だからといって、障害を持つ彼の入院が健常者と同じ処遇であってよいとは言えないと思います。法令や給付基準の隙間を埋めるのは、学園の献身であるというのもとても哀しいことです。徹夜の看護に人手をとられればその分、学園の日常にも影響するでしょう。　社会福祉予算の年々の減額は、このようなところに影響しているのです。この春の高齢者医療の問題も同様でしょうが、福祉予算の切り詰めや、セイフテイネット縮小の影響は、まず最初に最も弱いところに現れる、その現場を見た思いです。
　小泉・竹中改革はいったい何をもたらしたのか。　まだ存在するといわれる日本の個人金融資産千五百兆円は、国内で投資されることができずに、銀行預金から国債に転じ、そして米国ドル債券や多国籍ファンドに転じ、それが原油高や穀物高、資源高の原因の一つになっているのだとしたら、それがグローバル化であるとするならば、一体全体我々は何をやっていると云うのであろうかと嘆きます。　堂守の預金など老後の蓄えともいえない僅かなものであり、千五百兆円などという金額は想像もできませんが、因果は巡るのだと思えばこそ、一人の市民として何を考えるべきなのか、何を為すべきなのかと思わされます。
追伸
　しばらく減少傾向を辿っていた堂守の競売評価受託件数が、この春くらいから異常なほどの増加傾向にあります。　競売発生件数が社会を写す鏡であるならば、このところの増加傾向は日本経済が不況への道を走っているというよりも、既に不況の真っ只中にあると云えましょう。　しかも今回の不況は世界同時不況の様相を呈しているようであるのと、賃金上昇は伴わない物価のみ上昇を道連れにしているようです。この秋以降、暮れにかけて予断は許されないと言えるような気がします。
　折りしも、地価の下落地点急増を伝える「土地総合情報ライブラリー・地価LOOKリポート」には、アクセスが集中しているとみえてつながらなくなっている。（08/08/21　09:00）
　

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