主任研究員

 鑑定協会が主任研究員を募集している。 詳細は後述するとして不思議なのは、この募集が会員専用サイトで行われていることである。 なぜなら採用条件というか、応募資格が特に設けられていず、あえて応募資格というのであれば、「不動産鑑定士として5年以上の経験を有し、ワード及びエクセル等を活用できる者であること。」が該当する条件と考えられることから、鑑定協会会員であると否とに係わらず鑑定士であれば応募資格があるといえよう。 であれば公募が当然であろうから会員専用サイトでの募集は不自然なのである。


 茫猿はしばらく前からこの主任研究員に関心があるというか、応募してみたいと考えるのである。 もちろん、応募有資格者ということと採用されるということは、別次元であり自身がふさわしいなどと考えている訳ではない。 単純に「不動産鑑定士として5年以上の経験を有し、ワード及びエクセル等を活用できる者」という条件は満たしていると考えるのみである。
 常々、このサイトでも述懐しているように、茫猿自身の鑑定士人生は終期が近いという自覚があるが、まだ若干の余力を持っているという自負も少しある。 であれば、鑑定協会の主任研究員というポジションにも少なからず興味を持つのである。 仮に採用されるとすれば、採用期間は3年間である。今の茫猿にとって3年間はいささか長いが、務められないほどの長期間というものでもない。 茫猿にとって検討に十分値する新天地(身の程知らずを除けば)と云えるのである。 何よりも応募資格に年齢制限が無いというのが、とても魅力的である。
 ところで、主任研究員の業務内容であるが、主任研究員という名称にそぐわない項目も含まれているのが些か疑問である。 応募要項が示す業務概要は概略以下の通りである。
一、基本業務
(1)不動産鑑定評価についての対外的な広報
 基本業務のトップが対外広報というのが少しばかり不思議である。対外広報というのはいわばスポークスマンである。米国や中国では報道官とか広報官と呼称されるポジションである。 旬日ほど前に話題にした「地価公示への”マスコミの的外れな批判”に対しての反論」などが該当するであろう。 なおこの件に対しては、茫猿だけでなく堀田氏も自身のサイトで反論を掲載している。
 対外広報というものの性格上、間髪を入れない素早さが求められる時も少なくないから、主任研究員というポジション(役員ではなく、純然たる事務局でもないという、多少曖昧なポジション)が相応しいのかもしれない。 さらにというか、どうやら対外広報業務には対外折衝業務まで含められているようでもある。
(2)不動産鑑定評価についての調査・研究
(3)不動産鑑定評価制度についての検討
 この二項は当然な項目であり、逆にいえばこの二項に続いて、前(1)項の広報活動が示されるのが素直ではないかと思われるのである。
二、委託調査の窓口業務等
 委託調査の受託・納品の窓口業務が挙げられているけれど、主任研究員なのか主任担当員なのか判らなくなってくるのである。 推量するところでは、事務局のスリム化が進んだことから、恒例業務以外の業務に対応する余力が事務局に低くなっており、主任研究員に主任担当員業務も与えようと云うのであろうか。
三、委員会の業務に対するアドバイス及び業務の分担
 多少曖昧だけれども、理解できないほどのことはない業務である。 委員会サポート業務はともかくとして、テーマによるけれどもアドバイスならば少しは可能かもしれない。
 さて応募に対して最大の難点は「常勤条件」である。 承知のとおり茫猿は地方在住であるから、東京常勤ということであれば住まいの確保ということ以前に東京転居という問題が生じてくるのである。私的な事情もあり東京転居は一筋縄ではゆかない難題なのである。
 でも考えてみれば、かねてからネット利活用を主張する茫猿のポジションからすれば、地方に生活基盤を置きながら東京勤務をこなしてゆくという勤務形態も可能というより検討に十分値すると思うのである。 毎週二日ないし三日、時には四日、東京に滞在し、以外は地方に居住してネットを活用して主任研究員活動を続けてゆくというのも不可能ではないというか、十分に可能だと考えるのである。 自宅から虎ノ門までの所要時間は最短で約二時間半だから、携帯電話とモバイルPCを活用する木帰月来的勤務も面白いと考えている。
 本当の最大の難点は、地理情報とかネット化とか公益法人改革対応とか連合会化問題とかへの対応能力(経験とか知識)ではなく、東京(都市圏)固有の証券化とかDCFといった先端問題についての知識や経験が乏しいことにある。 しかしながら、それらについても論文を執筆することは有能な先覚者にお任せすればよいのであり、主任研究員といえどもスーパーマンではあり得ないと考えれば、問題は無かろう。 最大の難点というより障害は、やはり『茫猿遠吠』にあるだろうと考える。 会長以下大半の役員氏は「我々役員に向かって先生とも言わずにタメ口をきく(敬称は”さん”しか使用しない)、そんな茫猿だけは採用したくない。」と、お考えになるであろうと自覚するのである。
 いずれにしても、応募申込期限は「平成21年5月29日」である。まだ四十日以上の考慮期間があることから、真面目に考えてみようかと思っている。 応募したとして採用が約束される訳ではないが、茫猿のような応募者がいたという選考経過も意味があるだろうし、何よりも茫猿が示す応募要件は財政逼迫の鑑定協会にとっても魅力的ではなかろうかと考えるのである。 すなわち、非常勤であるから報酬は多額を求めない。 各月4往復の旅費、滞在費プラス若干の交際費以上は求めないのである。手元の電卓を叩いてみたら、それでも結構な金額にはなるけれど、実額支給であればそれなりに合理的と思えるのであるが、如何なものであろうか。
【追記.1】
 実は、主任研究員というポジションはとても出張が多いポジションである。 鑑定協会におけるところの当面の課題である「公益法人改革」、「連合会化」、「地理情報」、「ネット利活用」といった問題では地方行脚が欠かせないであろうから、全国各地を旅することが必然となるであろう。 汎太平洋鑑定会議や日韓定期協議などの海外出張もある。それだけでも魅力的なポジションといったら不謹慎ではあろうが、やはり魅力的なのである。 駄目もとで応募する意味があろうし、応募者が少なければ採用される確率も高くなろうというものである。 それでもやはり、茫猿だけは採用したくないと、多くの方は考えるだろうなあ。
  “old soldiers never die, they just fade away.”
【追記.2】
 協会役員選挙結果が公表されている。会長は91%の高得票率で神戸冨吉氏が再選された。推定投票率は約53%である。 神戸氏に当選のお祝いを申し上げますとともに、益々のご活躍を祈念致します。
 さて、経緯からしてやむを得ないとはいうものの、投票率の低さがいささか残念である。 事実上の信任投票ながら、得票数が会員過半数にわずかに届かなかったということを神戸氏ひとりの責に帰することはできないのである。 副会長選挙をはじめ東京・近畿以外の選挙区が無投票に終わったことなどからして、会員の関心度の低さが気になるのである。 重要な課題を抱えているH21・22年度鑑定協会の舵を取っていただく役員諸氏にお願いしたいのは、何よりも求心力の回復である。
 茫猿などが言うのは烏滸がましいが、それでも難題処理に向かう最大のパワーは求心力であるだろうと思われるからこそ、協会役員会と会員を積極的につないでゆこうとする役員諸氏の努力に期待するのである。 連合会化問題でのパブリックコメント募集についての記事でも少しふれましたが、民主主義というのは手間暇のかかるものです。民主的であろうとすればするほど、手間暇がかかるという二律背反的な内在する障壁に、飽いたり倦んだりすることなくお勉め頂きたいと願うばかりです。 《言わずもがなでしょうが、老爺心ながらにです。ご勘弁下さい。》
【追記.3】
 鄙の桜は一部を除けば葉桜になりましたが、牡丹が開き始めました。
 

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