三次元にあらず

 粗雑な、ほとんど酔っ払いの戯言みたいな話しであり、書いていても恥ずかしいのだが、でも今考えていること、取り組んでみたいことは、そんな戯言(タワゴト)なのである。 明日から上京して、NSDI-PT-21年度が始まるのだが、その前に備忘として戯言(タワゴトorザレゴト)を記しておくことにする。


「三次元的アプローチ」
 しばらく前から三次元アプローチなどと半可通の言い草を書いていたが、これについて考えてみたい。 今期のNSDI-PTに目標としてほしい登攀方法(アプローチ)は正しくは三次元(X,Y,Z)ではなく、平面座標(X,Y)+時系列(T)なのであって、四次元と称してもいいのかもしれない。 その辺りの学術的な意味においての不正確さはお目こぼし頂くとして、平面的な位置(緯度、経度)と時系列という位相の変化から何が読みとれるのか、導き出せるのか、何かの通底する法則が浮かぶのか試してみたいと考えている。
「肯定的なアプローチ」
 新しい試みは難点を拾い上げることからは始めたくない。 否定論に与することなく総てを肯定的に考えて進めたい。 例えば、取引事例について、類型の差異をどう扱うか、配分法の適用処理は可能か、という疑問が存在するであろうが、数理的解決が困難だから無理という議論には与したくない。 不十分でも不満足でも、採用可能な処理方法を模索し、そこからどのようなものでも、一つの結果を得ることに意味を見出したいのである。そして得た一つの結果を土台として、次のステージを目指して往ければ佳いと考えている。
 採用可能な手法を、鑑定士以外の第三者(学界、IT業界、業際業界)と協議しながら進めてゆきたいと考える。多変量解析法やヘドニックアプローチ法など既に開発公表されている手法を検証してみたいと考えるのである。 大上段に振りかぶれば、鑑定評価に科学的思想を導入する試みを行いたいと考えるのである。
「専門家の職人芸を下支えする手法」
 鑑定評価基準は、鑑定評価は鑑定士の知識、経験、判断力に依存すると云うが、いわば高度な職人的手法とは次元を異にする方法論を模索したいのである。 これは「練達堪能な技術力に支えられる鑑定評価」を否定するものではなく、新たな方法論の構築であり、結果として鑑定評価を支えそして裏打ちする手法を得ようと云う試みである。
 無原則のカオスに見え、ひたすらエントロピーの増大に向かうようにみえる社会事象にも「有効利用の実現」とか、「効率的資源配分」といった人智が働くことにより、エントロピーの減少に向かうのではなかろうか、同時にそこには何かの法則が潜んでいるのではなかろうかという仮説に拠るのである。 その仮説に基づいて解析手法を組み立てることができれば、何かが見えるのではと期待するのである。
 鑑定評価基準が世に公表された1965年にはパソコンは存在しなかったし、新スキームと呼称される全数・悉皆調査もその暦年データも存在しなかったのである。それらが共に存在するようになって数年を経過した今において、パソコンと悉皆調査データと地理情報を駆使することにより何かが得られないか、得られるであろうという仮説に身を委ねるのである。一つ一つの取引事例は様々な個別事情によって形成されるであろうが、全体としては社会的かつ経済的存在である「不動産の然るべき価値」というものに導かれて、それらの取引価額は形成されているであろうという仮説から出発するのである。 
 世迷い言だし、酔っ払いの戯言だけれど、誰も手を付けようとしないのであれば、誰かが、何処かのドンキホーテが手を染めてみるだけの意味があるだろうと考えているのである。
追記
 ここでは、「ナンチャッテ!! チャン々々」と付け加えるのが王道だろうが、茫猿は横道になりかねないから止めておくのである。
【関連記事】
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進化する地理空間情報提供事業
【追記:090805】
 寄せられたK氏のコメントにあるベイズの定理とは、ある事象から事後の確率を求めるという統計学の考え方であり、その定理は次の通りである。(ウィキペデイアより)
P(B) = 事象Bが発生する確率(事前確率, prior probability)
P(B|A) = 事象Aが起きた後での、事象Bの確率(事後確率, posterior probability)
とする。 ベイズの定理によれば、P(A) > 0 の条件のもと、
 P(B|A)=P(B|A)P(B)/P(A) が成り立つとする。

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三次元にあらず への1件のフィードバック

  1. 河野 修司 のコメント:

    はじめまして。
    いつもこのブログを読ませていただいております。
    >鑑定評価に科学的思想を導入する試みを行いたいと考えるのである。
    私も、「鑑定評価に科学的思想を導入する」というのは、不動産鑑定がこれから
    進んでいくべき道だと思っています。
    1.取引事例、賃貸事例についてはデータベース化して、地図上にマッピング
    できるようにしたい。
    2.取引事例比較法については、ベイズ統計により比準したい。
    3.建物設計等についてはもっと知識を増やさなければいけない。
    4.収益還元法については、割引率や還元利回りについて、金融機関をねじ伏
    せることができるような理論を構築したい。
    不動産鑑定士が本当のプロフェッショナルとなるためにも、思考の転換、
    技術の革新が必要と思います。

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