畑にはまだ雪が残っているうえに、霜解けでぬかるんでいることから、何の作業も出来ない。本を開くにも厭きたから柚子練りを作ってみた。 我が家の柑橘類は今年全般的に不作というか裏年のようで、蜜柑も夏蜜柑も柚子も例年の半作以下である。 柚子も小振りなうえに、年末も年始も何やかやと追われていて、雪が降るまで採り入れできなかったから、柚餅子つくりは諦め、柚子練りだけを作ったというわけである。
柚子ねりの作り方は簡単だが、手間と根気が出来上がりを左右する。 まずは柚子皮を細かく刻み、この刻んだ柚子皮を二度、三度と熱湯で湯通しする。 厚手の平鍋に柚子皮を入れて絞った柚子汁を合わせ、弱火でゆっくりと煮詰める。 焦がさないように木べらでいたわるように混ぜながら煮詰めるのが肝心なのである。
柚子皮の色が濃くなり、柚子汁が少なくなったらグラニュー糖を入れて仕上げである。 この時に好みで、醤油や煮きり酒を合わせても良い。 柚子汁と砂糖の量を加減することで出来上がりの堅さが決まるが、熱いうちは柔らかくても冷えると堅くなるから、柔いなと思うくらいが頃合いなのである。
できあがった柚子ねりは、甘さを抑えたほどよい酸味のなかにかすかなほろ苦さが感じられ、噛めば口の中に柚子の香りが広がる至福の味である。 ほろ苦さこそがおとなの味とも云えるものである。
今年もきれいにできあがった”柚子練り”である。
《本記事は通算1990号である。》
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