今、何ができるのか

 かつてない大惨事を前にして、我々のできることには限りがある。とりあえずは、自衛隊、警察、消防などをはじめとする行政の支援作業を見守り応援するしかない。ボランテイア活動にしても、まだ受入体制が整っていないし、遠い地に赴けるほどの体力も気力もない。
 でも人命救助など緊急救援の次にはできることが少しはあると思う。個人々々の義捐金がその一つである。 もう一つはチームとしての義捐である。幸いというべきか、新公益法人化移行を前にして、鑑定協会も士協会も少なからぬ剰余金を保管している。 その中から可能な範囲で義捐金支出を提案したいと思っている。


 鑑定協会宛には「義捐金拠出」を提案するメールを送ろうと考えている。 地元の士協会にも提案書を提出したところである。 情けは人の為ならずという、我が身の為なのだと考えている。
 原発事故の行く末を、不安を持って見守っている。 まずは事故がさしたることなく終息することを祈っている。 同時に、今後は原発に対する不安と批判が高まるだろうと予想される。 原発に多くを依存する日本では、原発の稼働停止や建設中止はエネルギー危機に直面することとなる。景気動向にも大きな影響を与えることとなるだろう。
 しかし見方を考えれば、今回のような事故がなくとも廃炉処理などに、大きな不安要因を抱える地震国日本は、原発依存から脱却して、太陽熱や地熱風力潮力、バイオなど新たなエネルギー源を開発する契機とすることができるだろう。 簡単なことではないが、先進国を自負する日本であればこそ、災い転じて福と為すことができるのではなかろうか。
【2011.03.14 12:00追記】
 2011.03.12付けにて、神戸会長をはじめ常務理事級役員各氏に、義捐金提案趣旨のメールを送信しました。また同趣旨のメールを鑑定協会事務局宛に送付しました。
 各氏からは賛意を示す趣旨の返信を頂いております。 2011.03.15開催の常務理事会にて善処されることであろうと思います。
 また、九州沖縄鑑定士協会連合会関係者や同中部地区連合会関係者並びに地元岐阜県士協会役員各位からは、組織としての義捐金拠出趣旨の決議や決議案上程趣旨のご連絡を頂いております。 善意の輪が広がりつつあるのを心強く思っております。 小生も個人義捐金をささやかではございますが寄附致します。
【2011.03.15 07:10追記】
 東北TSUNAMI震災の死者行方不明者の数は日を追って増えている。正確な数は未だ確認されていないが壱万人を越えるのは確実となった。 避難者数は57万人、全損被災家屋数は数十万戸に達している。
 福島原発は1号炉の建屋水素爆発に続いて、3号炉も爆発し、2号炉も危険な状況になっている。(08:10、2号炉も爆発した。圧力容器が破損したも伝えられる。)いずれもメルトダウン状況にある。 震度7には耐えたものの、TSUNAMI被害により冷却ポンプ稼働用の予備システム・自家発電燃料タンクが流失したのが、大きな原因のようである。 現場で復旧に当たっている東電職員や自衛隊に被爆被害がでているし、微量ではあるが被爆者が広域に拡大している。予断を許さない深刻な状況にある。
 現在は原発から20km圏内に退避勧告が出されているが、今後も放射能漏洩が続けば退避地域がさらに拡大せざるを得ないであろう。先ずは現場にいる人たちの被爆が心配である。それでも現場放棄をしてしまえば、被害は大きく拡大するだろうし、とんでもないジレンマに陥っている現場を想像すると言葉がない。
 東京電力は管内で計画停電を始めたが、そのためにJRをはじめ私鉄各社とも運休を行い、都内では大きな混乱が生じている。一部スーパーでは食料品棚が空になったという。日を追う毎に経済混乱が広がりつつある。 東電と政府は都内の電飾広告の停止、エアコンの停止、自販機の停止、廊下や外装などの不要照明の停止などを求める時期にあるだろう。節電要請ではなく節電勧告をすべき時期であろう。
 マグニチュード9.0という大地震の影響であろう、東日本各地で余震や影響を受けた地震が頻発している。 携帯電話にも緊急地震速報が既に三度届いている。日本列島が揺れているという感じである。
 10mの高さを持つ防潮堤防も無力だったし、原発炉心の溶融から電力供給力が不足して、計画停電、鉄道運休へと連鎖する状況などをみれば、想定を越える災害という言葉では語りきれない自然の脅威というよりも自然がもつ力の巨大さを思わされる。 自然災害を克服しようと云う、あるいは克服できるという考えの甘さや思い上がりを知らされる。 あらためて自然との共存という考え方を見直す時ではと思わされる。
 東京のTVスタジオが伝える情報はなにか虚しさを感じるし、首相官邸の記者発表も二転三転したり曖昧だったりする。 現場が情報発信できない状況にあるとすれば、テレビも政府も現場に密着する体制を整えるべきだろうと思う。 いずれにしても現場でしか判らないことが多すぎる。 現場においてしか見えないことが多いと考えるが、被災地までも計画停電したということを聞けば、東京と現場の乖離を知らされる。 身近の災害であった、昭和51.9(1976.9)長良川決壊時の報道と現場の乖離を思い出す。
 石原東京都知事が今回のTSUNAMI被災を、「日本人のアイデンティティーは我欲になっちゃった。アメリカのアイデンティティーは自由。フランスは自由と博愛と平等だ。日本はそんなものない。我欲だよ。物欲、金銭欲」などと前置きし、「この津波をうまく利用して、(日本人の)我欲を1回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のアカをね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々はかわいそうですよ」と発言した。 自然災害を天罰と表現する考えはとても危険な思想である。 政治や行政の問題をすり替えて「アキラメ」に誘導する発言であろうし、天誅思想にもつながる。
 石原氏は四選には110%出ないと言っていたが、結局出馬するという。三選出馬の時と同じ後出しジャンケンである。
 

関連の記事


カテゴリー: 茫猿の吠える日々 パーマリンク

今、何ができるのか への2件のフィードバック

  1. 匿名 のコメント:

    地震による被災状況が明らかになるにつれて、その被害の大きさに胸を痛めます。
    亡くなられた方、行方不明の方、家を無くした方、ケガをされた方、多くの方が
    困難に直面しています。
    今日、フジテレビが行っているフジネットワーク募金に募金してきました。私も
    昨年から病気をして働けていませんが、それでも困難に直面している方たちの力
    になる方法があると思いました。
    日本不動産鑑定協会が公益法人化を目指すのなら、その名に恥じない行動がある
    と考えます。森島様のご提案、賛成します。

  2. 福田勝法 のコメント:

    仙台空港を始め、被災地の惨状、言葉が有りません。昨年、縁有り、仙台に三度参りました。塩竃のお寿司屋さん、市内のおみやげ屋さん。どうなったのか、どうなってしまったのか。茫猿氏のご提案に賛同致します。鑑定協会の速やかな対応を期待します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください