他山の石

 他山の石と表現するのが妥当なのかどうか、少し疑問が残るが、不動産鑑定業界にとっても心したいというか、いいやそちらの業界の方がましだとも思える暫く前の事件が報道されていた。


 「公認会計士会サイトによれば」

 本日(4月27日)の参議院本会議で、「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が修正議決するものとされました。
 同法律案は、平成23年4月21日の参議院財政金融委員会で審議され、法案に盛り込まれていた公認会計士制度の見直しに関する規定すべてを削除する旨の修正議決がなされておりました。
 法案が、本日の参議院本会議で修正議決されたことから、今般改正が提案されていた公認会計士試験・資格制度の見直しに係るすべての事項(科目合格等の有効期間の見直し、「企業財務会計士」の創設、公認会計士の資格要件の見直し、会計の専門家の活用等の促進・その状況の開示)は行われないことになりました。

※六月の新聞等報道によれば、「公認会計士協会、会長解任請求を理事会で否決」とある。
 

公認会計士協会理事会は、一部の会員から提出された会長の解任請求を否決した。理事会の過半数が請求に反対したため、解任の是非を問う会員投票を実施しない方針を決めた。
 解任請求は協会の一部理事や地域組織の元幹部らを含む544人が署名し、提出した。会計士の就職浪人問題を解消するため金融庁が導入を検討していた「企業財務会計士」を巡り、容認した山崎会長の対応を批判して「協会長としての資質に欠ける」などと指摘し解任請求を提出したものである。
 企業財務会計士は会計士の前段階で一定の資格を設けて企業への就職を促すことを狙ったが、廃案になった。会計士協会は容認したものの、協会内部では「会計士試験の魅力が低下する」などと反対の声が根強かった。

 司法試験改革で弁護士を増やした結果、食えない弁護士、就職できない弁護士が出てきた。公認会計士も合格者数を増やしたことで同様の状況にある。
 資格業種に競争原理を導入することでサービスを強化してレベルも向上するという論理は、業界にとっては無用の混乱と競争を招くものであり、ただちには肯定できないものがある。
 これら一連のできごとを受けて、7/26付朝日新聞”経済気象台”コラムは次のように述べている。

 公認会計士法改正案は、確かにやや的はずれな内容だった。 それは改正を誘導した政治家の理解不足と、議論に加わりながら正論をもってあらがわない業界代表者の公認会計士協会という不幸な構図が招いた結果といえる。

 就職できない公認会計士試験合格者たちのために「財務会計士」という企業内新資格を作ろうということであるが、これは産業界の意向に沿った制度変更であり、監査業務を目指す会計士の卵たちの救済策にはならないという。
 鑑定協会も新スキーム制度改善(?)という問題を抱えている。依頼者の不適切な示唆という問題も抱えているのである。 それらの問題解決には所管庁との協議が欠かせないが、そこで自律性ある自主規制団体としての有り様が問われるであろう。
『正論をもって抗う(あらがう)べきは抗う』という姿勢をどこまで貫けるかが問われていると思う。 同時に抗えばよいというものでもない、ことは協議でありネゴシエーションでもある。何を譲り何を得るのか、時には身を切るような冷徹な判断が求められると思うのである。 そうでないと身から出た錆となりかねないとも危惧するのである。

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