国土交通省:土地・建設産業局:鑑定評価指導室は、2011.08.26付けにて以下の行政処分を公表しました。この件は「かんぽの宿」鑑定評価について、当初の売却関連評価に関するものです。現物出資関連かんぽの宿事件ではありません。
「官報に公告された事項」
2011.08.26官報:「不動産鑑定士に対する懲戒処分と不動産鑑定業者に対する監督処分」公告
「記者発表された行政処分事項」
国交省サイト:不動産鑑定士及び不動産鑑定業者への行政処分等について
「不動産鑑定士及び不動産鑑定業者への行政処分等について」平成23年8月26日
日本郵政公社(当時)からの依頼によるいわゆる「かんぽの宿等」の不動産の鑑定評価(平成19年8月31日付けで鑑定評価書を交付)に関し、国土交通省は、関係地方整備局長等から、「不動産の鑑定評価に関する法律」第40条第2項の規定に基づき不動産鑑定士4名に対して懲戒処分を行うとともに、不動産鑑定士13名に対して注意(行政指導)を行いました。
また、同法第41条の規定に基づき不動産鑑定業者1社に対して監督処分を行うとともに、不動産鑑定業者1社に対して注意(行政指導)を行いました。(別紙1) 【鑑定士名並びに不動産鑑定士業者名も公表】
併せて、鑑定評価等業務の適正な実施の確保について徹底を図るため、社団法人日本不動産鑑定協会会長に対して通知(別紙2)を発出しました。
【当該行政処分に並びに通知に関して留意しておくべき事項】
通知には、1.鑑定協会に周知徹底を求める事項、並びに2.適切な対応措置を求める事項の二項目があります。適切な対応措置を求める事項には(a)鑑定評価実務指針等について、早急な点検と改正を求めています。 同時に(b)依頼者プレッシャー対策を講じることを求めています。また、a、b両件についてとりまとめた対応措置の報告を求めています。
この件は、2010.08.02の衆議院予算委員会質疑に端を発するものであり、前代未聞の大量処分であり当時の原口総務相、前原国交相の答弁を受けた処分と考えられます。 2010.08.02以来、一年間のあいだ鑑定協会は対応策を鋭意検討してきたことであろうと考えられますが、具体策のとりまとめについてはあまり聞こえてきません。特に(b)項については何も聞こえてきません。
しかし、今回ばかりは直面している新スキーム改善問題などとの関係もあり、Too Late,Too Little,Too Fuzzyでは済まないでしょう。倫理研修の強化とか、有償のレビュー制度立ち上げなどという、実効性や実現性の乏しいFuzzy策をとりまとめて、お茶を濁すことのないように期待します。
本来ならば、一年間の検討を踏まえた、間髪を入れない鑑定協会の対応策公表があって然るべきと考えます。たぶん水面下では適切かつ的確な対応策(案)が用意されていることであろうと(?)期待されます。 鑑定協会の「Self-Regulation」が問われていることでもあります。
同時に、過去二件の会長声明が何であったかが問われていることでもあります。
「2008.9.8 会長声明」「証券化鑑定評価実施状況調査」においても、今後は、今回のケースを反映させたものに調査内容を充実させて実施し、当協会としても、遺漏なく、フォローアップを行うことにしております。 次いで、「2010.8.3 会長声明」(Webから削除済)かんぽの宿問題について、当該鑑定評価書の審査を行うとともに、当該鑑定業者に再度のヒアリングを実施することにしております。
Client Influence Problem (2010年8月15日)
Rea Review 制度創設提案 (2010年8月18日)
相撲協会と鑑定協会 (2010年8月24日)
何を言っても馬耳東風であり、井蛙に陥り易い鑑定業界ではあるが、既に茹蛙への道を歩み始めているのではと危惧もするのである。 夏の終わりを告げて軒端をわたってゆく涼風が、首筋をつたうアキカゼにも思える。茫猿が虚空に遠吠する虚しさのみが身に染みる秋でもある。
【11.08.28 追記】
鑑定評価等業務の適正な実施の確保について―いわゆる「かんぽの宿」に係る行政処分への対応― と題する会長声明が11.08.26付けにて公表されました。
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