0.437μSv/h、E657

03/27 14:30 気仙沼大島に別れを告げてフェリー、大船渡線、一ノ関から東北新幹線と乗り継いで夕刻に仙台へ着いた茫猿は、宮城士協会の重鎮方にお会いし直面する課題について伺いました。 震災地評価基準をはじめとして手探りの作業が続くなか、一様には対応できない悩みの深さを教えていただきました。

新スキーム問題については、茫猿の言っていることを理解できない訳ではないが、「あなたは先を見過ぎる。今は会員になぜ改善なのか、理解を深めてもらうことが先でしょう。公的土地評価問題も情報開示の潮流も指摘のとおりなのだろうが、今はそれどころではない。会員の多くは改善の必要性すら正しく理解できていない。」と厳しい指摘をいただきました。

翌朝、郡山へ向かい福島会の重鎮とお目にかかりましたが、前夜と同じような指摘をいただきました。 20万円もする放射線計測器を見せて頂きましたが、室内で0.3μSV/h、屋外では0.7μSV/hなどと示されたものの、その数値がどのようなものか茫猿には判りません。 教えて頂いた方も、本当のところはよく判らないと言われました。 掲載する写真は郡山駅前に設置してある線量計測器ですが、表示する数値は0.437μSV/hです。

3.11震災地の鑑定評価に現場で苦悩する不動産鑑定士にお会いしても、放射能汚染に毎日向き合っている福島の方にお会いしても、何も申し上げることの出来ない茫猿の無力さを改めて噛みしめると同時に、被災地の外にいる我々も真摯に謙虚に向き合うことが、一番大事なことなのだと記す今も、何やら虚しさを感じています。

郡山にお暇を告げ、茫猿は高速バスでいわき市小名浜に向かいました。原発被災地への立ち入りができませんが、せめて福島の浜通りを垣間見たいと思ったのです。 小名浜漁港の付近は一見しただけでは津波被害の跡は見つかりませんが、注意してみれば歩道の敷石、フェンスの倒壊、被災したままの家屋などが目に入ります。 大きな被害を受けたと伺う「いわき・ら・ら・ミュー」も昨秋にはリニューアルオープンしていました。 しかし、この後に、今も残される被災の大きさを知るのです。

写真は左から、観光バスが訪れている「ら・ら・ミュー」、再開した 「ら・ら・ミュー」内の寿司屋さんで見せて頂いた「3.11小名浜港の記録」冊子です。 寿司屋さんの名札は喧嘩を売っているみたいです。 「ホウボウ、ナメタラ、カスっぺ、ドンコ、ヤリイーカ」なんてものです。《写真はクリックすれば拡大します。》

      

このお店で、今も大変なんだよと教えて頂いた塩屋岬にこのあと向かいました。
塩屋岬は美空ひばりさんの復帰第一作「乱れ髪」の碑で有名ですが、乱れ髪の碑は被害を受けなかったものの、その周辺の集落は家屋が根こそぎ波にさらわれる被害を受けていました。
塩屋岬手前の海岸沿いの集落は無事な家屋は一戸もありませんでした。 そこから少し北へ向かうと乱れ髪の碑は無事でしたが、碑の直ぐ下、海側のトイレは今も使用禁止状態でした。

      

「髪のみだれに 手をやれば 赤い蹴出しが 風に舞う」と歌い出す乱れ髪は、とても好きな歌です。カラオケで歌うことは好みませんが《皆をシラケさせますから》、何度も催促されたら、乱れ唄を承諾いただいた上で怖いもの知らずに歌うと云うよりは吠えます。 石碑の前に立てば、ひばりさんの歌声が流れてきますから、それに合わせて海に向かい彼女とハモってみる茫猿でした。

小名浜からタクシーで常磐線泉駅に向かい、03/17より運行が始まった新型特急E657系ひたちに乗ったのですが、上野へ着くのは20時過ぎになるとのこと、その日じゅうに岐阜へ帰るのはとても無理だからと諦めて水戸駅で途中下車し、この日は水戸泊まりとしたのです。写真は夕なずみ人影のない泉駅に停車する「E657系新型特急ひたち」です。 車内はまだ新車特有の匂いがします。


いわき市平の寿司屋さんでも小名浜の寿司屋さんでも漁港が近くにありながら、地魚は無く北海道や静岡から搬入した魚ばかりと店主自ら苦笑する状況がいつまで続くのか。 振り返って鑑定業界を眺めれば、改善の必要性は理解されながらも、手続きの粗雑さや説明不足への不満、変化を受け入れられない心情の遣り場の無さなど、ここでも先の見えないやるせ無さが漂います。  水戸の宿では駅南及び駅北双方に整備されている立派なペデストリアンデッキや中央通路の人通りの多さなどに驚きながらも、昼間の疲れもあり町歩きの気力無く、早々と横になったのです。
写真は翌朝の駅南ペデストリアンデッキ及び駅北のそれです。黄門様もお見えです。

      

 

 


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