Nsdi-pt 再開

2012.12.05 開催の日鑑連・情報安全活用委員会は、2012年度の REA-MAP活用推進小委員会事業計画案並びに実行予算案を承認しました。 REA-MAP活用推進小委員会は、略称:NSDI-ptと称する事業プロジェクトチームです。NSDIとは「 National Spatial Data Infrastructure:国土空間データ基盤」のことです。

NSDI-PTは下記の事項を所掌する小委員会として、2011.08.05 開催委員会において設置が承認済みでしたが、根底で大きく関わる新スキーム改善問題の方向性が見えないので、今まで活動を停止していたものです。ようやくに第二次改善案が日鑑連理事会承認を得たことを受けて、活動を再開できることとなりました。 十年来関わってきた者としては、とても嬉しいニュースです。
・所掌事項1.REA-MAPの公開・周知・活用推進
・所掌事項2.日鑑連ビジョン対応:情報・データベースの整備検討

『鄙からの発信』記事にて、振り返ってみますと、2012.01.20掲載記事を最後にして、Nsdi-pt関連記事は掲載しておりません。 年度をまたいで、この一年間は活動を全くできなかったのです。
※『鄙からの発信』 地理空間情報と鑑定評価 Posted on 2012年1月19日
※『鄙からの発信』  Rea Netの現状と展望 Posted on 2012年1月20日

待ちに待った活動再開ではありますが、残された委員任期は四ヶ月弱、年度替わりの引き継ぎ期間を考慮しても半年を切りました。 だから、時間的制約は大きいのですが、活動の方向性その他の準備は水面下で続けてきましたから、それなりの取り纏めを行って、次期に引き継ぐことが出来るであろうと楽観しています。 もちろんのこと、来期は連合会移行後初めての役員選挙が実施されますから、全体としてどのような方向性が打ち出されるのか、現段階では予断を全く許しません。 何よりも第二次改善案そのものの落ち着き先も、決して楽観を許されない状況にあると考えています。

しかしながら、取り巻く環境がどのようなものになろうとも、悉皆調査結果(不動産取引情報並びに価格情報:いわゆる新スキームデータ)の、効果的かつ効率的な利活用ツールの開発並びにその運用準備は進めておくべきであろうと考えますし、その意味を理解頂いたことによるNsdi-pt事業計画の承認であろうと考えております。

一、Nsdi-pt事業の目標
(1)一次データ(名寄せ済み取引情報:現在はデータの提供を受けていない)についてジオコーデイングにより、地理座標値を与える。
(2)取引価格情報調査(新スキーム)の委託を受けた現地調査担当者は、回収価格情報(二次データ・PDF)を基礎にして、取引価格を入力し、REA-MAPが提供する仮位置図(一次データ座標値を基にする仮位置図)により現況調査を行う。
(3)現況調査の際に評価員は、GPS搭載カメラにより事例地現況写真を撮影し、ファイル保存する。 この現況写真のプロパテイ(属性情報)の一部として保管される真正座標値により、不動産取引価格情報データ(いわゆる三次データ)座標値を確定し、同時にREA-MAPが提供する事例地の属性情報を基礎として三次データ属性情報を確定し保存する。(属性情報確定は座標値を基礎として、MAP-CLIENTにより自動取得される) 自動取得される属性情報は最寄り駅、商業施設、公共施設及び都計用途地域等である。

以上の事業目標とする作業工程は、調査担当者の負担を大きく軽減し、省力化並びに効率化を図るものであり、同時に調査確定データの精度並びに一元化も図ろうとするものである。

(注)ジオコーデイング
インターネット上で住所から緯度経度に変換する「アドレスマッチングサービス」や「ジオコーディングサービス」を云います。 GoogleやYahooの地図サービスが提供しているAPI機能(Application Program Interface)を利用して、住所から緯度経度情報に変換します。 日鑑連はYahooとAPI機能利用の年間契約を締結しています。
なお、ジオコーデイング・データは住居表示実施地区で有効であり、未実施地域では大字単位で一括表示される。(DID地区以外の宅地及び農地、林地では有効ではない。このあたりは、カーナビの住所検索と同様である。)

(注)GPS搭載カメラ
写真撮影と同時に人工衛星電波を基にして位置情報を記録するカメラ。 プロパテイ情報として撮影日時等と同時に座標値が記録される。 事例地の現況写真ファイルも作成できる。 各社のデジカメはGPS搭載型が標準となりつつあり、¥15,000~¥20,000で入手可能である。

(注)都計用途情報
都計用途地域図のデジタルマップ化は、第三セクターにおいて概ね完了しており、年間利用のライセンス契約を結べば、利用が可能である。

二、Nsdi-ptの所掌事項及び委員構成 (記載省略)

三、Nsdi-pt 2012年度事業計画
Nsdi-pt本来の事業目標は一次データの座標値取得であるが、現在は不動産取引情報データ(いわゆる名寄せ済み取引情報:一次データ)の利活用について、所管庁の了解が得られていないので、関連システムの構築基礎資料並びに、当該作業工程に関わる実証実験資料としては、不動産取引価格情報データ(いわゆる三次データ)を利用して構築作業を進める。

・三次データ(jirei10.txt)とGISのリンクプログラムを作成する。
(a)三次データについて、ジオコーデイングにより座標値を取得する。
(b)三次データをモニターに表示されるデジタルマップ上に地点表示する。
(c)並行して、三次データの属性情報を取得して、表示する。
(注)JIREI10.TXTには、既に座標値入力フィールドが用意されている。

・以上の実証実験を、年度末(2013.03.31)を目途に行い、実験結果をREA-NETで公開する。
・実証実験対象データは、一部都市圏域及び一部地方圏域とする。
・取得する属性情報は、最寄り駅、商業施設等距離条件、及び都計用途等である。

四、実行予算 (記載省略)

五、Nsdi-pt 拡張の方向性その他 《次年度以降の課題》
(1)本事業は三次データでスタートするが、次年度以降の早い時期に、一次データ及び二次データの利活用が目標である。

(2)現場調査担当者が担当地点として配布される二次データには、既に暫定位置図及び暫定属性データが仮入力されている状態を目標とする。 すなわち調査作業の省力化並びに効率化、一元化が事業目標である。

(3)調査担当者は、法務局公図による地形データを入力し、座標値を修正確定すれば属性データ調査項目の多くが終了している状態が目標である。 この座標値修正入力にはGPS機能搭載カメラで現場写真を撮影すれば、現況写真のプロパテイ情報から現況写真の保存と同時に、座標値の修正確定も可能である。 また、公示事例二枚目の作成が大幅に省力化、もしくは不要とできるだけでなく、事例地写真情報も利用可能となるのである。

(4)一次データ及び二次データに座標値を持たせることは、メッシュ地図に取引情報分布を年次毎等に表示できることとなり、悉皆調査結果の分析利活用に大きく寄与できるものであり、社会的発信力も強化されることとなる。

緯度経度情報を用いるからこそ、多数の事例データや評価地点データを時空を超えてビジュアルに一覧一括処理できるのである。 また、デジタル処理の進捗は多数の数値データ取り扱いを容易にします。 鑑定業界が管理する大量の事例資料等データに緯度経度情報を付加したデジタルデータとして利活用することにより、新しい地価動向分析が可能となるであろうし、新しい情報発信と社会貢献を視野に入れることができるであろうと考えるものである。 NSDI-PTは、Rea Map とMap Clientがそれらにとって有効なツールとして活用されることを期待するものである。

その一つの具体例を示唆するものとして、『鄙からの発信』不動産市場の空間ダイナミクスPosted on 2012年12月5日 記事が参考となるであろう。

今期のNsdi-ptはDataとGIS情報のリンケージシステムを構築し実証実験を行うだけであり、実際の稼働は次年度以降の課題として引き継ぐものであり、その稼働時期や稼働態様については何も決まってはいない。 どころか、実際に稼働されるかどうかも、新スキーム改善の方向性如何では判らないのである。 しかし、Nsdi-ptとしては、いま可能なこと、遂行すべきと考えることを実施するだけである。 以後のことは引き継いでくれるであろう誰かが担ってゆくであろうと考えている。

残された時間は短く、与えられた予算額も十分ではないが、筆者が数年来関わる「Nsdi-pt」の区切りに値する実証実験にしたいと考えている。 同時に烏滸がましいことは重々承知の上で云えば、Nsdi-ptを引き継いでゆく人たちの育成につながることが、秘められた最大の事業目標であると云える。

NSDI-PTの裾野はとても広いものがあり、茫猿などの視野の及ぶところでは到底ありませんが、プロジェクトチームだけでなく多くの会員も巻き込んだ多角的な議論が、「鑑定評価と不動産市場分析」に幾つかの方向性を示すことができれば、とても良いことだと考えています。
それは[Data,Information,Intelligence]に一つの考え方を示すものであり、「Intelligenceの戦略的活用 Posted on 2012年11月23日 」にもなにがしかの影響を与えることができようと、身の程も知らずに考えている。

 

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