淀みに浮かぶ泡沫

Mixiにしても、Facebookにしても、Twitterにしても、日々書き込まれるコメントは流れ来たり流れ去りて止まることなく、後からあとから押し寄せるSPAMの波間に埋もれ忘れ去られてゆくのである。  ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶ泡沫は、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなしなのである。 鴨長明も八百年を経てSNSの世界に比喩されようとは、思いもよらぬことであろう。

つまらない前置きをしたのには訳がある。 『鄙からの発信』を更新することは泡沫(うたかた)に過ぎないという思いが拭いきれないのである。 もとより差ほどの意味あることとは考えてもいないが、泡沫を認めるのも自虐に過ぎるかと揺れているのである。  さて、01/16報告である。惹句を付ければ「新閲覧料内定すれども、道険し」であろうか。

2013.01.16 新スキーム改善委員会が開催され、「全国統一・新閲覧料」が内定しました。 手続き的には01/22開催の理事会承認を残しているが、改善委構成員は常務会メンバーとほぼ重複しているから、多少の曲折はあっても、理事会承認は得られるであろう。

1.内定した新閲覧料の概要
新閲覧料は資料閲覧を希望する会員全員に等しく賦課する基本料金と、閲覧件数に応じて賦課される従量閲覧料の併用です。 想定される基本料金総額は、概ね新スキーム調査維持費に相当する。 (注)新スキーム調査維持費=アンケート郵送費+システム維持費=合計約2億5千万円 維持費はアンケート発送件数に応じて変動する。  想定される閲覧事前登録会員数は約3500名。

閲覧件数従量制閲覧料見込総額は、士協会事務費補助金及び事例作成補助金に相当します。見込額としては新スキーム調査維持費とほぼ同額が計上されている。 事務費補助金は士協会規模や作成件数等に応じて配分が予定され、作成補助金は作成件数並びに作成の難易度を考量して配分が予定される。(約400円/件)

(注)閲覧料の考え方としては、定額料金制と従量料金制の2手法が存在する。 定額制を採用すれば、事例管理に伴う非正規利用根絶という問題はほぼ改善される。 しかし利用量の多寡にかかわらず一律料金という考え方は、おおかたの納得を得るのが難しい。 完全従量制料金は受益者負担という意味からは透明であるが、非正規利用を根絶する方策が不可欠であると同時に、安定した閲覧料会計を維持することが難しい。 以上の両手法の長短を考量して両者併用手法が選択されたものである。

2.残された課題
新閲覧料が理事会の承認を得られれば、第二次改善案の07/01実施に向けて残された課題は僅かかと云えば、そうも云えないのである。

・現行三者契約を破棄して、日鑑連と委託業者の二者契約締結への移行措置。
・四次データを円滑に収集するための措置、及び四次データ二枚目の管理措置。
・従量制閲覧料を運用する上では、実効性あるLOG管理が不可欠であるが、その具体措置。
・公的土地評価におけるデータ管理の具体的措置。
(注)公的土地評価における閲覧料は、原則として一般鑑定と同じ扱いであるが、徴収は受託件数単位で行うことと内定している。

以上の他にも、
・閲覧管理規程の改定
・REA-NET運用サーバの更新措置
・閲覧料徴収に際して、口座引落を採用することに関わる措置
等など、解決されなければならない課題は多く残されている。 何よりも半数余の士協会は、未だにREA-NETに未加入なのである。 しかも次年度は役員改選期でもある。 予断はできないというのが本当のところなのかもしれない。

なお、07/01という期限にこだわる必要はないという意見もあろうが、07/01は平成26年地価公示評価員の委嘱更新時期であり、同時に新スキーム調査更新時期でもあることから、円滑な移行を考えれば、07/01という時期が望ましいものである。 またそれ以上に、所管庁との改善実施約束の期限でもあろう。

また、ほとんど話題にもならないのであるが、自らが所属する士協会外の事例資料の閲覧を希望する会員は(士協会外事例閲覧)、事前に外部事例閲覧登録並びに登録料金を支払い、該当する士協会事務局等の閲覧端末設置場所に出向き、割高な閲覧料の支払を求められるのである。日鑑連が自ら実施する事業について、それを利用する会員に、このような時間的、金銭的負担を差別的に設けるべき合理的な理由が存在するのかどうか、いまだ疑問なのである。

また、少額とはいえ作成補助金の支給が予定されているにもかかわらず、公示評価員(調査担当者)と非評価員の閲覧料に相当の格差を設けていることも疑問である。 新スキーム調査従事は地価公示受託における業務仕様事項であり、事後に於いて優遇されなければならないいわれはないのである。  前項士協会外事例閲覧と同じく、些末的かつ原理原則的にこだわるように思えるかもしれないが、「地価公示由来事例を閲覧利活用に供する」という、建前論的には否定されていることを日鑑連が行おうとするのであれば、無駄な横槍が入る隙は無くしておくべきであろうと考えるのである。

《茫猿遠吠》
念のために茫猿の持論を述べておけば、a.問題の多い地価公示由来四次データの閲覧提供は即時停止、b.三次データをREA-MAP併用にて全国オンライン閲覧の実施、c.三次データのプロパテイ情報はその持ち主に所要の対価を支払って入手すればよかろうという、至極単純なものである。

 

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