議事要旨(第4回 地価公示のあり方に関する検討会)

第4回 地価公示のあり方に関する検討会(2013.01.21)の議事要旨が公開されている。
開示まで一ヶ月を要した議事要旨が何を伝えようとしているのか、興味深いものがある。 議事要旨の冒頭に記載されている意見に注目しておきたい。

「地価公示が政策的に何を目的に実施しているかをはっきりさせる必要がある。国土利用計画法が重要であった当時には地価公示が必要であった。また、公共事業の用地取得のために、過大な価格で用地を購入しなくてよいよう、地価公示を十分に用意する必要があった。その後、バブルの際に、監視エリアの設定のために地価公示が必要であり、また都道府県地価調査との連携を図り半年間隔の地価動向指標を設ける必要があった。首都機能の移転が議論になり、国土法で注視区域の設定が必要であった。現在の地価公示の政策意義にふさわしい検討が必要だろう。」

多く云われてきた地価公示の政策目的が総て過去形で述べられているが、現在の地価公示における政策意義については何も述べられていない。 だから「現在の地価公示の政策意義にふさわしい検討」とは、何を示すのか全く見えてこないのである。 だから、このような意見がとても気懸かりなのである。 公的土地評価の一元化はすなわち、課税評価のネットワークに地価公示が呑み込まれてゆく道筋だったのではと懸念されるのである。

「地価公示や地価調査を何のために用いるか、例えば課税のためといったように目的を整理し、その目的に応じて、取引事例が少ない地域は地点数を多くする、地価変動が激しい地域は地点数を多くする、といった考え方をするべきだろう。」

過去記事で公的土地評価の一元化について、このように述べたことがあるが、このことも即ち、「課税評価のネットワークに地価公示が呑み込まれてゆく道筋」に過ぎないのであり、地価公示が制度インフラである以上は避け得ない道筋だったのではと思い始めている。
「地価公示を頂点とするピラミッド構造として公的土地評価一元化問題をお考えの方が多いのが気になりました。 公的土地評価の一元化とは、相続税路線価網や固定資産税路線価網を地価公示や地価調査が支えてゆくということだと茫猿は考えます。 一般的に鑑定士が関与する相続税路線価や固定資産税路線価(市街地以外では路線価非敷設地域もある)とは、それら路線価網の主要結節点の評価(相評及び固評の標準地評価)を指します。公示価格等が結節点を形成する場合もあります。 それら標準地評価は公示価格等からの規準結果でもあり、一致するのが原則ですが稀に一致しない地点もあると云われます。 規順結果という意味からは公示価格等が上位性をもちますが、実態的には路線価網(ネット)が公表されるネットとしての優位性を示す場合もあるのです。 一元化とは公的土地評価格のヒエラルキー(段階的組織構造)を云うものではなく、ネットと支柱の一元化を指すものであろうと考えます。」

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