暮れゆく2013年

昨日から断続的に雪が舞っている。降り積もるほどではないが、時雨になったり降り止んだりしながら雪が舞い続けている。 地価公示に追われることも、歳末挨拶に巡り廻ることもない、穏やかで静かな師走である。 今年も様々なことが起きそして消えていった。 残日録としては、茫猿がなにを考えていたかを2013年備忘として残しておくのである。

記憶に新しいところでは、「安倍総理の靖国参拝」がある。 靖国神社の歴史と神社自身の歴史認識についてはさておくとして、公人である総理として記帳し参拝することには相当の違和感を感じるのである。 なによりも、中国や韓国から直ちに問題視されることを承知していながら、これみよがしに参拝をすることは、なにやら目には目、歯に歯はという思いが消えない。 日本の近代史のなかで長い交戦の時間をもつ中国、長い支配の時間をもつ韓国《朝鮮半島》に対しては、もう少しオトナの対応がとれないものかと思うのである。 なお靖国神社がもつ歴史認識は、神社に併設される遊就館に現されている。

「原発再稼働と原発輸出、特定秘密保護法、集団的自衛権にかかわる憲法解釈変更、etc」 いずれも衆参両院で圧倒的多数を得たことによる、安倍自民党の正体が露わになったものと考えている。 安倍自民党の正体とは、岸信介から福田赳夫そして安倍晋三とつづく自民党右派の長い悲願の系譜があるのだろう。 安倍自民党の本質を知る為には、平成24年4月27日に決定し公表した「自民党憲法改正草案」を読むことが必要である。 そこには、天皇を元首とすること、国旗国歌規定、国防軍規定、基本的人権と公益及び公の秩序規定、緊急事態規定などが盛り込まれているのである。 安倍自民党が目指す方向は、総てこの憲法草案が目指す方向なのであろう。

「福島原発問題」 原発事故は未だに終息していない。 汚染地下水問題をはじめ事故原発廃炉処理、汚染土壌の最終処分など終息の見通しすら見えてこない。 3.11震災復興も同様である。 これらの問題を考える時に、東北地方のおかれた歴史的地理的位置というものを考えざるを得ないのである。 同じ文脈で「沖縄・普天間基地移設問題」も考えざるを得ない。 その底流は新たな琉球処分なのであり、過疎地辺境の人々を札束でひっぱたく遣り方に思えてならない。

来たる2014年に「アベノミクス」がどのような経過を辿るであろうか、楽観は許されないと思っている。 円安に伴う輸入品物価高は消費者物価上昇につながり、金利上昇も招くであろうし、そこへ消費税増税が追い打ちをかけるであろう。 それらを打ち消すだけの経済活性化が到来するのか疑問なのである。 日本の繁栄は、一億二千万の人口、その人口の総中流化、そして曲折が有りながらも持続してきた円高傾向にあると考えている。 昨今の好況感は輸出大企業と海外展開企業の為替差益が総てなのであり、輸入品物価高はこれからじんわりと効いてくるのであろう。

「東京五輪招致」 そんなに興味はない。 2020年五輪を機にして、東京の一極集中がまた進むのであろうと思っている。

「不動産鑑定評価」 様々な話が今や漏れ聞こえてくるだけである。 地価公示について公開レビューで示された課題は、しばらくのあいだ先送りされただけであろうと考えている。 地価公示も一般の鑑定評価もその目標は、社会のニーズに応える、より良い評価を示すことにあるのだろうと考える。 であれば、そのためには何を為すべきかという視点が常に欠かせないと考えている。 最近のフェイスブックで「データサイエンティスト」という言葉を目にした。 鑑定評価が資料を収集し分析し、不動産価格という一つの結論に至る作業であるとすれば、不動産鑑定士こそ優れたデータサイエンティストたらねばならないと考えている。

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