作詞家でかつプロデューサーでもあった阿久悠氏が亡くなって初めて知ったことがある。中年に差し掛かって以後、数少ないレパートリー(8トラ以後のカラオケ)の一つとして、よく歌った曲の作詞者が阿久悠さんだったということである。
一つの歌は、「五番街のマリー」である。作詞者作曲者は印象に残らず歌手のペドロ&カプリシャス(高橋真梨子)のみが記憶に残っていたのだが、作詞:阿久悠 、作曲:都倉俊一コンビの傑作である。
「五番街は近いけれど とても遠いところ
悪いけれどそんな思い 察してほしい」
もう一つの歌は、「時代おくれ」である。詳しく調べていないから、てっきり河島英五氏の作詞作曲と思いこんでいた。河島英五氏が亡くなってもう六年になる。(作詞:阿久悠 作曲 :森田公一)
一日二杯の 酒を飲み さかなは特に こだわらず
人の心を 見つめつづける 時代おくれの 男になりたい
では、『五番街のマリー』をどうぞ。
そして『時代おくれ』をどうぞ。
私の呑み仲間廻りではマイナーな歌であったが、茫猿には唯一の十八番であった。というよりも、茫猿廻りの演歌年代人はよく知らないか、あまり唄わない歌だから、茫猿の拙い歌でも批評されにくく、唄いやすかったと云った方が正しかろう。いずれの曲もメロディーも好きだが、歌詞がもっと好きだった歌である。一曲の歌で一時間ドラマが構成できるほど、広がりを持つ詩である。 (合掌)