早朝5時半のこと、戸外がなにやら騒々しい。朝っぱらからエンジン音が響いているのである。
茶前に(朝飯前に)草刈りでもしているのか、近頃めずらしい篤農家だことと思って窓の外を眺めたらヘリコプターが超低空飛行をしている。 よくよく確かめたらラジコンヘリである。 道路にはコントロールボックスを抱えた操縦者が足早に歩いている。
オットリカメラでパジャマのまま飛び出して撮った写真がこれである。
茫猿の住む町は田舎町であるが、名神高速道路大垣ICにも岐阜羽島ICにも十分前後の距離であるし、新幹線岐阜羽島駅にもほぼ十分内外でゆけるという、ある意味でとても便利な鄙なのである。 朝七時、羽島発のヒカリを利用すれば、東京虎ノ門・鑑定協会事務局へ9時半までに到着することも容易である。
そんな便利さと、鄙故えに(非線引都計区域、用途未指定)地価も安いし、兼業農家の稲作離れも進むことから、ミニ建て売り分譲も結構多い。 二十年前には総戸数40軒だった茫猿の住む自治会も、今や六十軒を数えているくらいである。
農業に縁のない新住民の増加は、ひと頃盛んだった水田の集団防除や空中防除への苦情を増やしていることから、今年からか昨年からか、ラジコンヘリによる超低空薬剤散布が始まったのである。水田の上空5m前後の低空飛行だから、薬剤が風に流されて自動車や洗濯物を汚す心配も少ないということである。 特別高圧送電線を避けながら危険な飛行をする必要もないし、間違って水田のなかの分譲住宅に薬剤を散布することもないという訳である。
仕事だし早朝から働かなければならないけれど、ラジコンヘリの操縦で報酬がいただけるという仕事は羨ましいなと思いながらシャッターを押すのである。
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