この二三日、寒《かん》が戻ってきたような寒さである。霙《みぞれ》降る北風のなかではあるが、かねてから気になっていた池の修復工事を行った。雑木林のなかにある小さな池の土留めが崩れており、昨年から苦になっていたが、昨日補強修復工事を完了させた。
RCパネルをホームセンターで購入し、RC杭は池と川のあいだに張り巡らしていたネット支柱杭を転用するものである。ネットは増水時に鯉が逃げ出さない為の囲い網だったが、鯉を飼うことは青鷺や川鵜の被害を防止できずに断念したので今や無用となったものである。
池の水をポンプで排水し、従来の土留めを撤去してから杭打ち、古材やRCブロックを用いての基礎、その上にRCパネルを据え付けたのである。土留め擁壁は堅固なものとなった。 池の周遊路も整えることが出来たし、池底に溜まった落ち葉も掃除できた。一昨年の漏水防止工事以来の懸案を終わらせることができたのである。
池の周りがそれなりに整えられるに付けて思われるのは、誰かが見てくれることも誰に見せることもないという寂しさである。池の畔《ほとり》で鄙のもてなしを楽しんでくれた後藤昭明さんも中村博一くんも、もういないのである。なによりも父母に見せたいと思うのである。綺麗になったねと褒めてくれなくてもいい、せめてご苦労さんと一言声をかけてほしいと思うのである。
病床で母が、「雑木林《ドウゾー》を掃除するときは、何も出来なくて《痛んでいるところを修復できなくて》済みませんねと、お祖父さんに謝りながら落ち葉かきをしている。」と語っていた。そんな母の心に少しでも応えることができたのではと思っている。そして母さんに一声かけてほしいと思うのである。
暖かくなれば川の水位が上がって工事がし難くなるから、雪がチラチラと舞うなかでの工事である。手も足も冷たいけれど、今やっておかなければ、こんな工事はいずれ出来なくなると思いつつぬかるみのなかで頑張る、近く六回目の廻り歳を迎える茫猿なのである。「なんの為に」と考えないでも無いが、先のことはともかくとして、今住まっている自分が心地よければそれだけで十分なのだと思いつつ、杭をタコで打ち込みスコップを振るい、泥中に足を沈め腰を曲げつつ池底浚えをしたのである。
数日前から咲き始めたマンサクが寒風のなかで震えている。早春の使者なれば陽光のなかこそふさわしく、雪空には似合わない。
《恩田聖敬氏にエールを送ります》
まだ若くして《38歳》ALS(筋委縮性側索硬化症)という難病と闘っている、㈱岐阜フットボールクラブの前代表取締役・恩田聖敬氏のブログには励まされる。励まされると云う表現は馴染まないのかもしれないが、でもやはり励まされる。彼の倍近い人生を大過なく過ごせた自身の幸せを思わされ、彼を見習って今を大切に生きようと思っている。
《彼のFace Book》《彼のTwitter》
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