十月三十一日である。2016年も残り二ヶ月となり、新聞折り込みにはお節折り詰めや年賀状印刷の広告が溢れている。贈ることも届くことも無くなったお歳暮の広告も目白押しである。我が鄙里の雑木林は紅葉にはまだ早いものの、満天星や花水木が少しずつ色付き始めているなかで、赤い実が目立つようになってきた。そこで、幾つかの赤い実を撮ってみるのである。
先ずは、千両の実である。低木の枝先に艶やかな赤い実を付けるセンリョウはいち早く色づくが、いち早く鳥たちに食されてしまう。正月の切り花用にはネットをかけて保存するのである。
千両と云えば万両であるが、こちらはまだまだ青くて、これから朱色を増してゆく。
同じように小さな赤い実をたわわに実らせているのは野薔薇である。名前はノイバラであるが、春に白い花を楽しませ、秋に紅い実を楽しませてくれる。
紅い実を雑木林に探していたら、アオキの葉陰にカラスの枕を見つけた。
紅い実の掉尾を飾るのは、収穫を終えた柿の梢に残した木守柿《きまもりがき》である。収穫に感謝するとともに、鳥たちへのお与えでもある。秋空を背景に朝日に映える木守柿である。本日のベストショットと自画自賛する。
赤や黄色の稔りは多くても花は少ない今の時期であるが、ザクロの花がまだ残っている。昨年くらいから結実を待っているが、未だ稔りには至らない。
晩秋の花、石蕗《ツワブキ》が咲き始めた。木陰に植えてあるから深緑の中で黄色が目に鮮やかである。
春に花咲く木瓜《ボケ》が数輪咲いている。これも不時現象のひとつか。
2016年も残すところ二ヶ月、月日の経つのはなどと月並み言を云う気はないが、過ぎてみればやはり速いなというのが実感である。歳越せば数え七十四歳、後期高齢者にも健康余命満了期にも近くなる。なにかと体調不全を訴える家人のことを思えば、我が身の今の体調を維持して「鄙からの発信」三千号を目指さねばと思う神無月晦日なのである。