生硬く、辛気くさい話が続いたので、気分を変えてみる。
斯く申す茫猿も疲れたし、自ら鼻白んでもいる。
そこで梅雨の随に《まにまに》、庭の花を切り撮ってみる。
梅雨の随にとは云うものの、当地方の今年の梅雨は今のところ空梅雨である。
畑は乾き、作物は萎れ伸び悩んでいる。曇り空が雨空に変わるのを待っている。
梅雨どきのやすらぎ、クチナシの花である。木陰に咲く真白いやや厚みを帯びた八重の花が目に鮮やかである。ほのかに漂う匂いも優しい。難をいえば、花の命が短すぎて雨露にあたると、たちまち色褪せることである。幸いにも今年は空梅雨なので、花の命は長らえている。
睡蓮である。この夏二輪目が開いた。三匹の冬を越したメダカが泳ぐ水鉢に咲く睡蓮である。
この花の名は知らない。自然に《じねんに》咲いている。ヒルガオではないかと思っている。 その昔、「昼顔」という小説に苦い記憶がある。