標題は誤入力では無い。綿花《めんか》と棉《わた》とは似ている字だが、偏が糸と木で異なり、違うものを指している。だから、綿花と棉の花は異なるものである。棉は木綿とも云う。広辞苑で確認してみると、次のようである。
棉《わた》:アオイ科の一年草。花はアオイに似た底部が濃い黄色大輪。果実は熟すと開裂し白毛に包まれた種子塊を露出する。種子から綿実油をとる。(植物の一つの種属を指す用語。)
綿花《めんか》:ワタの種子を包む白色の繊維、綿糸の原料。(棉の果実が作り出す繊維塊を指す用語。)
我が鄙畑に棉が花を咲かせ果実を実らせつつある。茫猿が白い綿花を収穫しようと云うのでは無いし、白や赤の棉の花を鑑賞しようと云うわけでも無い。家人が知人に頼まれて、綿花《わた》のドライフラワーを作ろうと云うのを手助けしているだけである。
空いていた畑の隅に、家人が棉の種を蒔いたのは五月上旬だったと記憶する。家人は種を蒔いただけで、その後の施肥や除草などの作業は全て茫猿が行なった。蒔いた種は順調に芽を出したが、梅雨時の雑草に埋もれないように除草し、棉の木が大きくなってからは強風雨に倒されないように添え木をしたのは茫猿である。芽を出さなかったもの、風で倒され枯れてしまったものを除けば七、八本の棉が実りつつある。
《棉の花》右手に果実が見える。