鳥啼き魚の目は泪

なぜにそれほど咲急ぐと桜を責めたい気分である。鄙桜が咲き始めたのが03/27、今日はもう葉桜である。かと思えば例年なら二十日前後に開く御衣黄桜も八重桜も咲き始めた。駆け足で春は過ぎてゆく、「行く春や 鳥啼き魚の 目は泪(芭蕉)」なのである。

開花した御衣黄桜。木が伸びて年毎に花がしっかりしてくる。

そして、八重桜。

桜に気を取られているうちに、楓が芽吹いていた。柿若葉も近い。

雑木林の池には二羽のカルガモがやって来る季節になった。カルガモの親子連れが見たいから、巣作りしてくれないかと期待している。

春の日照りで畑の水撒きに追われている。例年なら少し早い時期だけれど、今日はトマト、ナス、万願寺シシトウの苗を植え、里芋の種芋を植えた。菜花は徒長し始め、ネギは葱坊主になり始めた。サヤエンドウも花は付けるが実にならない日が続いている。
「花散らす 雨待ち侘びつ 茄子植える (茫猿)」

芭蕉翁の句は素晴らしい、とても詠めない。というよりも、元禄年間の徒歩での長旅への不安、奥の細道結びの句「蛤の ふたみに別れ 行く秋ぞ」と対になる句であること、さらには伊勢物語の隅田川の段「白き鳥の嘴と脚と赤き、鴫の大きさなる、水の上に遊びつつ魚を食ふ。」くだりと 「名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」(業平)を踏まえての句であるとすれば、もはや手に負えない。

《2018/04/05追記》待ちわびる雨は降らなかったが、夜半の風は強くて残る多くの花を散らした。今朝の鄙桜はもう葉桜に姿を変えていた。

 

 

 

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