もう5月である。年々歳々、時は速く過ぎ去ってゆくように感じるが、今年になってからの時の過ぎゆく速さに驚いている。三月、四月はいつ、どのように走り去っていったのか、まるで憶えていない。気づけば陽春五月も二日、戸外の陽ざしは初夏のものである。庭先はツツジが花ひらき、ハナミズキが紅く、木陰にはシャガが白く咲いている。
窓の外に見える鄙桜はすっかり若葉桜に変じて、朱い小さな果実をつけている。
「年々歳々花相似 歳々年々人不同」年々歳々花は相似たりと見える。しかし、その実、花も歳々年々同じからずなのである。この春の花は、この春かぎりのものであり、昨春とも違うものであり、来春はまた自ずと異なる花を見せてくれるのであろう。
5月の陽ざしにゆれる窓外の鄙桜です。 緑桜が机に映り込んでいます。
関連の記事
- 願わくは花の下にて春死なん : 2007年4月2日
- 花を巡り花を愛づ : 2020年3月13日
- 2011鄙桜_1 : 2011年4月8日
- 年々歳々花相似たり : 2004年4月12日
- 白頭を悲しむ翁 : 2015年3月31日
- 皐月の五月 : 2015年5月27日
- 花の前 : 2017年3月28日
- 母の日に : 2017年5月14日
- 代悲白頭翁をよむ : 2017年1月14日
- 稲田の朝陽 : 2009年6月27日