サイトアイコン 鄙からの発信・残日録

鱧とナニワのマルクスと寅さん-2

 前回は鱧で時間が尽きてしまいました。短い夏休みとはいえ、鱧だけで終わったわけではなく、何かと慌ただしい半年を過ごした勢で在庫が乏しくなった私の微脳に、少しばかりの在庫投資もしました。


 「土壇場の経済学-南風社刊」ナニワのマルクスこと青木雄二氏と突破者ことキツネ目の男に凝された宮崎学氏の共著。裏の裏まで知り尽くした達人二人が、社会の仕組み、金のカラクリを徹底解剖する。金貸しのカモにならず、社蓄にならず、家族と自分を守り抜くためには。
 「寅さんの社会学-ミネルヴア書房」哲学者竹原弘氏がフーテンの寅さんを通じて社会と人間の社会的行為について、哲学的・社会学的分析を行う。
 「寓話で学ぶ経済学-日本経済新聞社」JMMの村上龍氏が、はまったと書いていましたので、読みました。経済版クリスマス・キャロルです。リカードの亡霊が道案内する経済の真実。
 「建築を語る-東京大学出版会」異色建築家から今やオーソリテイになった建築家安藤忠雄氏が語る、建築論です。一般教養向き
 硬軟取り混ぜて、4冊読みました。正確には買いました。硬軟と書きましたが、時流にオモネナイという意味からは全て硬派なのだと思います。青木氏も宮崎氏も、寅さんも社会のメジャーではありません。安藤氏とてマイナーな期間が長かった方です。いわば、マイノリテイの視点からこの世を看ると、どのように見えるのか。「鄙のコダワリ」にも書きましたが、メジャーやマジョリテイに流されるのは楽ですが、大変怖いことです。己の中にカウンター・パートとして或いはカウンター・パワーとして、マイナー又はマイノリテイの視点を絶やさないことが大事なのだと思います。以上の4冊を皆さんにお勧めする訳ではありません。
しかし、書店で平積みされているベストセラーばかりを読むことはイカガカナという視点で、紹介するのです。
 お時間があれば、同じ視点で、「買ってはいけない-週間金曜日」と「文芸春秋9月号-買ってはいけないはインチキ本だ」を併読してみて下さい。メジャーに対置するマイナーの大切さや、カウンター・パートの重要性といったことにお気づきになるかもしれません。4冊の本の読後感とか書評などというものは書きません。皆さんがお読みになって、何を感じられるのかが大事ですから、先入観なしにお読みいただきたいと存じます。
 この辺りが茫猿遠吠であり只管打坐であるのです。いずれにしましても、メジャー情報は溢れていますが、マイナー情報は自力で探さないとナカナカに手に入りません。又、メジャー情報を囓っていないと世間話から外れますが、マイナー情報を得ていても座の中央には居られません。短絡的な功利主義から云えば、マイナーやマイノリテイに関わることは、時間と金の無駄なのです。

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