半年間の休憩を経て、8/5よりNHKBSで寅さん全48作放映シリーズの後半が再開される。ところが前半の放映を待っていたワクワク感が今回はないのである。観たくない訳ではない、観たくて観たくて待っているのである。でも高揚感がないのである、怖いもの見たさに近い感じなのである。
05.8.6〜06.1.7の前半24作放映は、若さ溢れる寅さんから少しずつオトナになり円熟に近づいてゆく寅さんであった。今回は、死に近づいてゆく寅さんである。少しずつ老境が忍び寄ってゆく寅さん、自分の恋よりも満男の恋に重心が移ってゆく寅さん、満月が少しずつ欠けてゆくにも似る忍び寄ってゆく老いの影を寅さんに見ることになるのであろう。
第11作「寅次郎忘れな草」(1973) 網走での出会いに始まる寅さんとリリーの恋を追う旅なのである。トラヤという帰る処のある寅さんと、帰る場所のないリリーさんの対比が胸に迫るのである。
第15作「寅次郎相合い傘」(1975)で、寅さんとリリーの恋は雨夜の道行きを見せるのである。
再開第25作「寅次郎ハイビスカスの花」(1980)では旅路で病に倒れたリリーを見舞うために大嫌いな飛行機にも乗る寅さん、そして最終第48作「寅次郎紅の花」(1995)に、リリーとの恋の落ち着き処を見てゆかねばなるまい。
寅さんを観たあとで、浅丘さんの最近作「博士の愛した数式」を観ると、寅さん亡き後に年輪を経た女の美しさを再認識させられるのである。
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